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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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厳しいJリーグの現状。各チームの親会社が100周年になるのを待たないといけない?
by セルジオ越後

 アジアチャンピオンズリーグ(ACL)で日本のクラブは川崎F、広島、セレッソ(C大阪)の3チームが決勝トーナメント進出を決めた。でも全部2位でギリギリ上がって、あまり今後への期待を持たせない勝ち上がりだったね。相変わらず韓国勢は強いし、中国の広州恒大はさすがにアジアで一番となっているチーム。また小野がいるウェスタン・シドニー・ワンダラーズは久々にオーストラリア勢で上位を狙えるチームになっている。もちろん、決勝トーナメントへ進出することも簡単なことではない。だけど、予選を突破しただけで喜んでいるのが今の日本の置かれている状況だと思うね。

 ACLでは日本勢の“本気”が見えない。予選リーグの最終節で決勝トーナメントへ進出できるかどうかの試合だったら、動員して満員のサポーターで相手にプレッシャーをかけたいところだけど、平日の開催とは言え、空席が目立つ。一方、負けた相手の悔しがり方を見たら、この大会にかけている思いが伝わってきた。今のJリーグに、「ACLで絶対に優勝する」という戦力補強をしているチームは残念ながら、ない。日本のクラブにとって、ACLは賞金含めてあまり魅力的ではないのかな。お金で選手をかき集める中国勢などと比べると、賞金、価値観の違いが見える。これはかつて開催されていたトヨタカップのヨーロッパ勢と南米勢とのタイトルへの温度差と似ていると思った。

 C大阪はようやくフォルランがフィットしてきているけれど、柿谷の調子はまだ心配だ。監督が代わったり、急にスポットライトを浴びたりしたことで若手の選手たちの「無我夢中で」という良さが少し消えている感じがする。柿谷はワールドカップメンバーに入ることが決まったような報道をされているけれど、現在の調子で他国だったら「代表から落とせ」となってもおかしくない。豊田や川又とかワールドカップのFW争いはサバイバルというニュースは目にするけれど、柿谷と大久保を入れ替えろとかいうニュースはない。自分は大丈夫というか、柿谷本人に危機感がないように見えるのが気になるよ。

 川崎Fも決勝トーナメントに進出したけれど、ボクは大久保の存在が大きいと思う。大久保はワールドカップのメンバーにも推薦したい。性格的にも大久保はワールドカップでできる選手。ワールドカップでプレーすることに関しては香川よりも、ヤンチャな大久保の方が向いていると思っている。彼は怖れずに戦って、イエローカードだってもらえる。こういう特長を持っている選手の存在は大きい。川崎Fのなかでもはっきりとその価値の大きさは出ている。国際大会ではいい子だけでは勝てないよ。

 ACLではJリーグチャンピオンの広島も何とか生き残った。今年も西川が浦和に引き抜かれているけれど、毎年主力がいなくなっている中でも、Jリーグでは常にトップクラスにいる。戦力的には昨年とは変わらない。苦しいけれどそれでも勝てている。クラブとして経験を積んで勝てるチームになっているという面もあるけれど、他のクラブの力不足も関係しているんじゃないかな。

 現在、J1でトップはブラジル人3人を補強してそれが当たった神戸。外国人の活躍次第ですぐに上に行くことができてしまう。今年も絶対的に優勝候補だといえるようなクラブがなくて、鳥栖や新潟といった地方のクラブが上位に食い込んでいる。また昨年の大宮のように残留争いからいきなり首位争いをするクラブが出てくるのが今のJリーグ。その状況から脱出する出口は見えない。どのクラブにも経済的に逞しくなるお金がない。世界へ、と見たら大丈夫かなと思う。
 
 どこも財布の紐が厳しい中でC大阪は思い切ったことをやって観客動員などでその効果を出している。たとえばJ1の18クラブにフォルランみたいな選手がいたらどうなるだろう。絶対にJリーグは変わる。100周年を迎えた親会社のヤンマーの意向もあったのか、C大阪にとっていきなりフォルランが入ってきたのは監督のプランと違ったかもしれない。チーム作りが遅れて結果も期待されたほどには出ていない。でもこの間C大阪と戦ったFC東京のように、他のチームにとっては負けてなるかと刺激になっている。C大阪がフォルランを獲得したことで、Jリーグにいい影響を与えている。他のクラブにも本気で勝つための補強など、世界を向いてやってほしい。でも、そのためには各チームの親会社が100周年になるのを待たないといけないかな。

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