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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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2018年へひどいスタートを切った
by セルジオ越後

 日本代表の新監督が元メキシコ代表監督のハビエル・アギーレ氏に決まったことが発表された。ボクはワールドカップが終わった後、良かったのか、悪かったのかしっかりと反省をしないといけないと思っている。確かに早く監督を決めなければ、候補者の進路が決まってしまうかもしれない。だけど、1勝もできなかったワールドカップの後で何が良かったのか、悪かったのかを反省する前にサッカー協会は次の監督を決めてしまったし、マスコミも敗因をほとんど追及することなく、新監督のニュースに乗っかってしまった。何が2018年へ向けた再スタートだよ。ボクは2018年へひどいスタートを切ったと思っている。

 ドイツの時と同じ失敗が起きた。06年のワールドカップで日本は1勝もできずに敗退。当時の川淵会長は風当たりが強かった時に成田空港でオシム監督と交渉していることを発表しちゃって、メディアはそちらに噛みついた。グループリーグ敗退について言及されずにサッカー協会は楽になった。今回も同じことが起こっている。ワールドカップをやっている間にもう次の監督の名前が出てきて、慌てて発表。メディアはやるべきことを忘れちゃっているね。本来、原専務理事にザッケローニ監督の指名責任があるのならば、彼が新監督を探すべきではないじゃないか。それについて問題視するような論評も聞こえてこない。今回のような惨敗の後で反省することなく、もう次の4年間の方向性を決めてしまった。だけどメディアには4年間儲かった思いがあるんじゃないか。売れない批判記事よりも新監督についてのニュースを報じ続けたからね。

 メディアにとっては日本代表が勝った負けたは関係ない。4年間商売ができればいいというスタンス。でもその間に日本はどんどん弱くなっているよ。天皇杯2回戦ではJ1の3クラブが格下に負けた。Jリーグの村井チェアマンの談話は見なかったな。メディアは「ワールドカップで予選敗退して、トップリーグのクラブが3つも負けてこれで日本のサッカーはどうなりますか」という質問をぶつけて記事にして欲しかったね。

 日本のメディアがつくったスターや日本代表が強いというイメージはもう限界にきている。彼らはそういうイメージをつくらなければ記事にすることができないと考えているかもしれない。でも日本のサッカーが強ければ、サッカーのニュースで儲かるだろう? だったら、日本を強くするために耳が痛いようなことを言わなければダメだろう。例えば本田は世界レベルのエースとして取り扱われて、いくつものCMで起用されてスターになった。でも「ワールドカップが終わってから批判してください」という人が日本に帰らず、「本田は何で逃げている?」という記事もない。それは本田のニュースがまだ儲かるために役に立っているからだろう。メディアは彼に気を遣って批判していないように見えるよ。

 なぜワールドカップで失敗したのか、サッカー協会、日本サッカーの問題点が何なのかを取り上げない。これではメディアとサッカー協会が組んで「また4年間ウソをついて儲けましょう」と商売しているような感じだ。負けた直後で日本のサッカーの何が問題なのか考えるチャンス、悪かったものを変えて強くなるチャンスなのに、4年間をまた無駄にしていいのか。

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