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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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トップを目指す柏の若き戦士たち
by 長谷川望

 日立柏サッカー場に隣接している天然芝、人工芝のグラウンドは柏レイソルの練習場です。クラブハウスも同じ敷地内にあり、Jリーグクラブのなかでも数少ない環境下でトップチームからアカデミーの選手たちが活動しています。アカデミーの選手たちは、練習後その足でトップチームの試合を観にいったりしているそうですよ。

 現在トップチーム31人中17人がアカデミー出身(うち5人は2種登録)という数多くの選手をトップに送り出している柏で、アカデミーが将来を見据えておこなっていることとは、一体どのようなことなのでしょうか。現役時代に柏の選手として活躍していた柏U-13の永井俊太コーチにお話を伺いました。「一番は、レイソルのサッカースタイルとしてボールを大事にすること。特に中学1年生は、一番伸びる時期なので『止めて、蹴る』という基本的な動作を継続して練習している。1対1の二人だけの関係だけでなく、これからは3人目や他の仲間ともっと上手く絡んでいけるようにしたい。また相手がいる状況で、自分たちがポジションをとってどう動くか、周りを見て誰がフリーなのか、相手がどこに来ているのか、どこにスペースがあるのか。そういった状況判断の部分も高めていきたい」。

 また、自身もプロ選手として、そして間近でプロになった選手を見てきた永井コーチは、伸びる要素はピッチ外での人間性がすごく大切だと強調します。「当然上手くて才能のある選手がトップに上がるが、ジュニアから柏でプレーしていた工藤壮人選手は、周りの人に気を使える。自分が良いプレーをした時でも謙虚な姿勢は変わらない。工藤選手を見ていて育成段階からそのようにやってきたんだなと思う」。伸びる要素として大切な「謙虚さ」。良いとき、悪いときがあるサッカー選手には、このような人間性が将来的に活きてくるのだと感じます。

 寒さが厳しくなった今月15日、人工芝グラウンドでは関東ユース(U-13)サッカーリーグ、柏U-13と川崎フロンターレU-13の一戦が繰り広げられました。結果は1-1の引き分け。課題を見つけたのか、試合後、空いたグラウンドで自由にボールを蹴るジュニアユースの選手。そして中学生の試合を間近でみていたジュニアの選手。いろんな年代の選手たちが同じ場所で切磋琢磨している様子が見られました。「みんなで成長している」と言うように、日立柏サッカー場の隣で若き戦士たちがピッチ内外で刺激し合いトップチームを目指しています。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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