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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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柏レイソルU-13、些細な会話に隠れたメッセージ
by 長谷川望

 中学生は心身ともに成長している大切な時期です。そしてそれは周りの環境に大きく影響されるもの。サッカーにおいても指導者との関わりは子供たちが習得しやすい環境をつくるために重要な要素です。それぞれ個人差があるこの時期に、どのようなことを心がけて指導しているのか。柏レイソルU-13の永井俊太コーチにお聞きしました。

「メンタルに波がある難しい時期。そこで練習前に笑いを交えて話したり、ピッチ外でも何気ないことについて話をしたり、サッカーの真面目な話をしたり、時には思いっきり怒ったりと、色んなことを試している。例えば日常のなかで、注意すべきことを、あえてさり気なく伝えることもある」と中学一年生の繊細な心情を踏まえた工夫がピッチ外の会話で行われていました。

このような工夫の裏には、プロとして活躍するまでに至った自身のサッカー経験が活かされています。「選手時代は、普通なら気付かないようなプレーひとつでも『良かったぞ』と褒めてもらえると、『自分をしっかり見てくれているんだな』って嬉しくなった。私も子供たちのそういう気持ちに気付いていきたい」。自身が歩んできた道だからこそ理解できるものがある。ピッチ外の些細な会話の中には、選手たちの想いをくみ取ったメッセージが隠されているのです。

 取材は野球場のなごりがあるグラウンドの脇で行ったのですが、そこで自主練をしている選手たちを眺めながら永井コーチは「みんなが頑張っていて、気持ちよくプレーしているときもあれば、へこんだり悩んだりしながら少しずつ成長している段階。U-13は新加入で入った子もいるので、レイソルのフットボールを勉強して、ジュニアから上がってきた子は見本になれるようにやってほしいと伝えている。僕もこの子たちも試行錯誤」と、笑顔で話し、チーム全員で柏のサッカーを作っていくという気持ちが印象的でした。コーチの多くは柏でのプレー経験を持っているという柏アカデミー。選手たちの気持ちを理解しながら、クラブのサッカーを次世代へと受け渡しています。

さらに「平成26年めざせ東京オリンピックちばジュニア強化事業 特別強化指定選手」の男子サッカー6名中5名が柏アカデミーから選出されています。東京オリンピックという可能性を秘めた若き柏の選手たちの活躍にこれからも注目していきたいです。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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