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ゲキサカ×大学サッカー「what's インカレ」

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what's インカレ vol.3:G大阪長谷川監督が語る大学サッカーの魅力

 12月11日に第63回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)が開幕します。ゲキサカでは大学サッカー連盟と合同でコラム企画を実施。『What’sインカレ』をテーマに様々な視点からインカレについてどんな大会なのかを全6回の連載で伝えていきたいと思います。そして第3回目はJリーグのガンバ大阪を率いている長谷川健太監督が語る大学サッカー、インカレの魅力です。

―なぜ筑波大に進学しようと思ったのですか?
「高校を卒業して留学も少し考えました。海外への挑戦ということで相当勇気のいる決断だったこともあり、踏ん切りがつかず大学に行こうと決めました。そして筑波大は教員の免許が取れるということが魅力でした。その当時はJリーグがまだなく、大学を卒業して実業団に入り、その後、教員になりたいと思っていたからです。筑波大のサッカー部に入ることで、人間関係の幅が広がったと思います。優秀な先輩や後輩たちが揃っており、仲間として、そしてライバルとして日々刺激を受けながら大学生活を過ごしていました。それは現在でも変わりません。いろんな分野で活躍されている方がいるので常に頑張ろうと刺激をもらっています」

―大学生活で印象に残っていることはありますか?
「非常に人間関係に恵まれていたことです。先輩方からも多くのことを学ぶことができました。また後輩に中山雅史(サッカー解説者)や井原正巳(前柏レイソルヘッドコーチ)がいて、練習に真面目に取り組む姿勢や成長をまじかで見ることができました。そういう経験から指導者としてどのようにすればいいのかということを学べたと思いますね」

―選手時代のインカレの思い出はありますか?
「選手時代は大学1年生と大学4年生の時にインカレに出場させていただきました。大学1年生の時には初戦で愛知学院大に敗けてしまいました。当時は優秀な選手というのは関東の大学に行く傾向がありました。なので、関東大学サッカーリーグが一番だと思っていました。しかし、東海のチームに負けてしまいとても悔しいかったですね。ただ、全国には上手い選手や強いチームが沢山あるということを再認識できましたし、改めて全国は広いと感じました。大学4年生の時には目標であった関東リーグを優勝しインカレに出場しました。準決勝では順天堂大に負けてしまい、3位決定戦では早稲田大に負けてしまいました。高校時代に一緒に活躍した堀池巧(サッカー解説者)や大榎克己(清水エスパルス監督)と対戦し負けたことは悔しかったですね。それでも、大学4年間で彼らや多くの選手から刺激され練習や試合に取り組んできました。そして念願の関東リーク優勝というタイトルを獲得できたことは非常に満足していますが、そこで力を使い果たしたのか(笑)、インカレでは優勝できませんでした」

―浜松大監督時代のインカレの思い出はありますか?
「監督として浜松大学の(現:常葉大学浜松キャンパス)を率いてインカレに出場した時は、選手とはまた違う気持ちで大会に臨みました。選手時代はどちらかというとリーグ戦の方に集中していました。リーグ戦はどの大学もレベルが高くそこで優勝することに価値があると思ったからです。しかし監督として東海のチームを率いてみると関東や関西のチームと試合をする機会が無いことに気づきました。対戦できるのは全国大会しかないということで、インカレに出場したいという気持ちが芽生えました。出場することで自分たちがどこまで通用できるかということもわかります。そういった面からもインカレ出場権を勝ち取りたいという想いはとても強かったです」

―今大会のインカレの決勝は国立から変わり味の素フィールド西が丘で行われます。この会場での思い出はありますか?
「西が丘での思い出は2つあります。1つめは大学2年次に1部2部の入れ替え戦を経験した青山学院大戦です。秋口に怪我をしてチームにあまり貢献できず、監督からも僕のせいで入れ替え戦だと言われまして…(笑)。その試合ではポストやバーに助けられ、また怪我を負って出場したのですが、コンディションが整わず、11対10で試合をしている感じで。それでも仲間が頑張ってくれたおかげで残留を決めることができました。2つめは大学4年生の時の中央大戦です。その試合でゴールを決めることができ関東リーグで優勝を決めることができたことですね」

―プロの監督として大学卒業の選手はどのように映りますか?
「ユースや高校サッカー出身の選手と比べて、精神的にも肉体的にも非常にタフであると思います。高卒でプロになれず悔しい思いをした選手、大学で勉強をするために進学した選手など理由は様々ですが、それでも大学時代にサッカーを頑張り、人としても集団生活などから社会性を身につけて成長してスカウトされる。このような経験をしているのでたくましい印象があります。ただ、即戦力として期待しているのでプロで活躍する、チームに貢献する、といった覚悟を持ってプロの世界に来る必要があると思います」

―大学サッカーの魅力はどのようなものだと思いますか?
「育成と発見ができる場であることだと思います。育成という面では、一つは、人として社会に出る前に学生という立場で世の中を見ることができること。もう一つは、いろいろな地域から出てきた人と関わりを持ち切磋琢磨することで、人間としても、サッカー選手としても成長することができる、このような2つの経験を通して成長していけるからです。発見という面では、高校サッカー時代にはスポットライトが当たらず芽が出なかった選手に対して大学サッカーというステージでスポットライトが当たるチャンスの場であるということだと思います。また私自身、大学3年生の時に卒業後に真剣に『サッカーの世界で生きていくためには…』ということを自問自答し続けました。それは、私の周りの選手が大学リーグや日本代表として活躍していたからです。高校時代まではどちらかというとサッカーをやらされていた感覚でしたが、自問自答した結果、自分は“サッカーが好きだ”と確信しました。好きなサッカーを長く続けたいと思い、心機一転して私生活から見直しました。その当時にサッカーが好きだということを発見できたからこそ、卒業後に日産自動車に入団でき、そして今でもサッカーに携われていると思います」

―監督にとってサッカーとは何ですか?
「それは“人生”です。そして“サッカーが好きやから”。サッカーが大好きだという想いで今まで関わってきました。この気持ちは小さい頃からも変わりません。そしてサッカーが私の人生です。好きなことを仕事にできていてとても幸せです」

●長谷川健太
清水東高、筑波大学大を卒業後、日産自動車でプレーしJリーグの創設に合わせて清水エスパルスに入団。引退後は浜松大(現:常葉大浜松キャンパス)でサッカー部を指揮。2005年から2010まで清水エスパスルの監督を務め2013年からガンバ大阪の監督として指揮を執っている。2014年シーズンはナビスコ杯、リーグ優勝を飾り2014シーズンの最優秀監督賞に輝いた。

 2014シーズンのJ1リーグ優勝を飾った長谷川監督。大学時代に再認識した“サッカーが好き“という熱い想いが監督を突き動かしているそうです。12月13日の第94回の天皇杯決勝戦があります。3冠を目指す長谷川健太監督、G大阪に注目しましょう。

(協力 全日本大学サッカー連盟)

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第63回全日本大学選手権特設ページ

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