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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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技術は世界一! 今後の課題とは…?
by 長谷川望

 年の瀬、いかがお過ごしでしょうか。月日は水の流れのように早く過ぎ去るもので、本コラムも今年最後の投稿となりました。一年の締めくくりに取り上げるのは、U-12カテゴリーで日本初の快挙を達成した横河武蔵野FCジュニア。世界32か国が参加するFIFA公認のダノンネーションズカップ2014にて見事優勝を手にしました。

 ブラジルで行われたダノン杯世界大会・決勝の舞台は、今年のW杯でも使われた約7万人収容可能のアレーナ・コリンチャンス。予選もベルギー代表がキャンプ地として使用し、ブラジル代表も合宿するという場所でピッチ状態も良好だったと言います。

 いつもと違う環境、海外チームとの対戦や交流。経験が人をつくると言いますが、吸収能力が高いU-12の選手たちにとってブラジルでの経験は何事にも変えられない財産となりました。

 世界を制した戸田智史監督は一喜一憂せずに選手たちの未来を冷静に捉えていました。「これからの方が困難なことが多いと思う。上手くいかなかった時にどう乗り越えていけるかが大切」。ブラジル大会に参加した10名が横河武蔵野FCジュニアユースへ。ジュニアユースではどのような事を伸ばしていけば良いのかが今後の課題として挙げられます。

「うちのチームだけではなく日本人の子はテクニックが優れている。実際(世界大会に)行って目で確かめて、そこが一番納得できた。準決勝はパラグアイとチリだったが、彼らの方がサッカーはよりシンプル。ゴールを守る、奪うということに関して徹底している。これが、年代が上がって海外の選手が戦術的に成熟した時にどう対応していくのかが、これから日本の選手たちに求められるものだと思う」

 来日している外国人コーチに日本人のプレーについて聞くと、判断スピードの遅さを指摘されることが多いです。それは正解を求めてしまう日本人の特徴かもしれません。しかし日本人の性質以外にも考えられることがあります。このような指摘について戸田監督にお聞きしたところ「判断スピードが遅いというのは、守備の強度が弱いと言える」と分析していただきました。

 技術がある日本。U-12でそれを物語ったダノン杯の結果。ジュニアユースになると今まで小さかった体格差の拡大、Jリーグ選抜や海外遠征などもあり、更に競争は激化してきます。そして次なるステージに立っても日本が世界に勝ち続けるためには、守備の強度がポイントになるのではないでしょうか。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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