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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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チームを離れそれぞれの道を歩む新中学生たちへ
by 長谷川望

 だんだん暖かくなり、春を感じられるようになりましたね。ジュニアチームのコーチは6年生との時間が残りわずかということで、寂しい気持ちもあるかもしれません。しかし子供たちの成長をみることが何よりも嬉しく思うのもまたコーチであります。

 昨年の全日本少年サッカー大会で神奈川県代表としてベスト8に輝いたチーム、JFC FUTURO(フトゥーロ)の6年生は、全日の思い出を笑顔で振り返ってくれました。特に、負けた翌日にチームみんなで早朝から宿舎の周りを走り込みしたことが、とても印象的だったそうですよ。

 そんな思い出を一緒に過ごしてきた鈴木友監督に、チームを離れ新中学一年生になる選手たちをどのような想いで送り出したいか聞きました。「選手には『ウサギとカメ』の話をよくする。最後までゴール目指して頑張るカメでいてほしい。今まで見てきても、どんな選手が一番強いかと言ったら、続けられる選手が強い選手だと思う。中学、高校に行ってレギュラーになれないとか、なんか言われたとか。社会に出たら理不尽なこともある。そういう壁にあたったときでも努力を続けてほしい」。

 鈴木監督が伝えたかったことは、上手くいかないときの心構えでした。上手くいったときではなく、上手くいかないときにどうするのかが、これから先の子供たちに重要になってくるのではないでしょうか。
 
 そして先輩たちの背中を見て育った選手たちと共に、新たな一歩を踏み出すJFC FUTURO。どのようなチーム作りをしていくのか聞きました。「新6年生に関しては、うちの長所である元気の良さをベースにしながら、ゲームの本質である、ゴールを決める、ゴールをきちんと守る、そういうところを大事にしていきたい。パスを回して満足ではなく、あくまでゴールを目指していく。最後の大事な部分は身体をはって守らないといけない、すこし雑であってもゴールを目指していきたい。そういうメンタリティをもっている選手たちなので、おもしろいサッカーができるのかなと思っている」。

 サッカーの本質を追求していくJFC FUTUROは、練習から驚くほど一体感があり、監督は周囲から「あまり教えない」と言われるそうですが、個々の能力を発揮できるチームだと感じました。昨年の全日でも上位に食い込んだJFC FUTUROは、Jクラブのジュニアユースにも数多く選手を輩出しており、いつか日本を担う選手がここから誕生すると予感しました。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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