beacon

ヤング魂 by 長谷川望

このエントリーをはてなブックマークに追加

[第73回]DF井上樹(甲府U-15)「行動で見せるしっかり者のセンターバック」
by 長谷川望

 山梨県を活動拠点としているヴァンフォーレ甲府U-15。競争激しい関東ユース(U-15)サッカーリーグ(2部)に参戦している強豪チームだ。チームのストロングポイントを島根聡一監督に聞いた。

「スイッチが入った時はすごく力を出します。成長している段階なのでまとまるまで時間がかかりますが、まとまった時はチームが持っている強さを見せてくれます。個性の強さがストロングポイントであり、自分以外のためにプレーすることが増えれば、より一体感が生まれると思います」

 一人ひとりの強みを生かしつつ、チームを更に強化する。それが育成年代の課題であり、彼らはまさにその真っ只中にいる。成長している甲府U-15の今後の活躍が楽しみだ。

 今回はチームワークを生み出すお手本的存在の選手をピックアップ!

PICK UP選手
 井上樹くん(15)。ポジションはセンターバック。相手との1対1の駆け引きでボールを奪い、常に最終ラインでチームのピンチを救っている。

 守備の要として活躍しているのはもちろんのこと、彼が力を入れているのは守備だけではない。「守備のポジションだけど、攻撃も大切になってくると思うので、いろいろな球種からのボールを蹴るようにしています。いろいろな位置から、いろいろなシチュエーションを考えてロングキックの練習をしています」。

 U-15日本代表にも選出されている国際経験豊富な注目の選手だ。

どんな選手!?
 島根監督は彼の周りとは違う人柄に驚かされていると言う。「ジュニアから所属しているんですけど、当時から自然と樹はみんなのお父さんみたいな役割になっていました。小さいころから精神年齢が高く、誰も水汲みやボールの空気を入れないという時に、樹が『やろうぜ』と声をかけたり、自分一人でやっていました。最初、サッカーは特別上手い訳ではなかったのですが、どんどん伸びていって、代表にも選ばれるようになりました。勉強も優秀なので、いつ力を抜いているのか逆に心配になったんですけど、樹のお母さんからは『家ではリラックスしている』と聞いているので少し安心しました」。監督も心配してしまうほどしっかり者の井上くんは、その姿勢が日本代表という成績にも繋がっているのではないだろうか。

 クラブで学んだことについて「貴重な体験をさせてもらっているなかで、サッカーは技術も大切だけど、人間性のところが関わってくるもの。ジュニアからのことですけど、チームスポーツなので、仲間のための犠牲心が強くなった気がします」と話してくれた。ジュニアから培った犠牲心は、仲間を刺激し、チームワークを育んでいる。

気になる質問‼
――好きな選手を教えてください。
「ピケ選手(バルセロナ)です。ディフェンダーとしての安定感とロングフィードの質、ヘディングの強さがすごいと思います。闘争心溢れるプレーやゴール前でしっかり身体を張れる選手が好きです」

――将来の夢を教えてください!
「将来はプロになって日本代表に選ばれたいです。また選ばれるだけではなくて、そこでも中心選手として、W杯やオリンピックで活躍したいです!」

――普段心がけていることはありますか?
「試合前後によって食べるものを変えるようにしています。試合前は炭水化物を多めに摂るなど、食事の知識は代表合宿に行ったときに教わりました」

――これからも頑張ってください!
「自分はDFなので『一点も入れさせない』という気持ちを大事にして、勝負にこだわっていきたいです。最後ボールを触らせないように身体を張ったり、チームを勝たせるプレー、勇気付けられるプレーを心がけていきたいです!」

[写真]チームメイトからの信頼も厚い井上樹くん(右から2番目)


◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
スポーツライター長谷川望facebookファンサイトはこちら

TOP