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ヤング魂 by 長谷川望

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[特別編]木場克己・後篇「サッカーの『体幹力』を鍛えるコツ」
by 長谷川望

 KOBA式体幹バランストレーニングは、長友佑都(インテル)が実践した体幹トレーニングとして知られている。身長170㎝にも関わらずイタリア・セリエAで活躍する長友が実践したというだけで、体幹トレーニングの重要性は十分分かる。しかしKOBA式体幹バランストレーニングの特筆すべき点は、他の世代の選手の活躍で如実に表れている。今年鹿島アントラーズに加入した注目ルーキー・安部裕葵、U-20代表にも選出され、今月にはJリーグ最年少得点を決めた久保建英(FC東京U-18)、そしてレアル・マドリーのカンテラに所属している中井卓大など次世代のスター候補たちもKOBA式体幹バランストレーニングを受けている。

 数々のプロサッカー選手を支えているKOBA式体幹バランストレーニングの生みの親・木場克己氏が指導するサッカーの「体幹力」鍛えるコツとは…?

なぜ体幹が必要なのか?
 もともと小学生、中学生のときに柔道を習っていた木場氏。当時は軽量級で「柔道では体重が少ない」という理由から高校ではレスリングを始めた。「当時『体幹』という言葉はなかったが、高校のときの練習に体幹トレーニングが含まれていました。そのときは腹筋、背筋と呼ばれていて、『腰回りを鍛えろ』と言われていました。身体の作り方はそこでのトレーニングがすごく勉強になっています」。

 その後、柔道整復師、鍼灸師を経て、サッカーに関わる転機になったのがFC東京でのリハビリ担当だった。「サッカーはやったことがなかったが、『すぐ倒れる』『肉離れが多いな』というイメージがありました。そこでサッカーボールをガンガン蹴っていたら内転筋とか腰など身体のいろんな所が痛くなりました。『おしりの筋肉で支えなきゃダメだな』と思い、怪我をしている選手にレスリングのトレーニングや体幹トレーニングをいれていったら、その選手がリハビリ後に調子が良くなり、肉離れも少なくなりました」。そこから「木場トレ」の評判がクラブ内に広まり、今では世界で活躍する選手を育てるまでに至っている。

 驚いたのは身体の仕組みを追求する力だ。「病院に行ってCTを撮り、インナーマッスルはこの筋肉、アウターマッスルはこの筋肉、と自分のなかで理解しながら、その人に合った体幹トレーニングを作っていきます。最初長友選手は腰痛持ちで、CTを撮ったら、アウターマッスルは素晴らしいが、インナーマッスルがあまりないのが分かりました。それから体幹トレーニングを始めて、腰痛を改善していきました」。CTまで使い細かく分析していることに、木場氏のトレーナーとしての追求、そしてこだわりが見える。実際に自分の内部を目にすることは、弱点を見つけて効果的にトレーニングをするための確実な方法だろう。

体幹とサッカーの関係
――サッカー特有の体幹トレーニングはありますか?
「軸足が大切です。『ボールを蹴った瞬間にボールが違う所に行く』ということは、足首の角度もあると思いますけど、いかに軸足で身体を支えて、頭をブレずに足を振ることがすごく大事。ボールを蹴るときは軸足に身体のブレが生じると、腰を痛めるケースもあるので、軸足で身体を支える力が大切です」

――具体的にどのようなトレーニングを行っていますか?
「胸トラップして次にももトラップをやります。胸でボールを受け止めてから、今度はパッと足を引き上げる動作。背中の筋肉や腰の筋肉が硬いと胸を反ることが出来ないですし、体幹が弱い選手はすぐに足を引き上げられないです。だからボールが変な方向に飛んでしまいます。体幹を鍛えると次の動きが早く出てくるようになります」

――育成年代でも体幹トレーニングを取り入れている人がたくさんいます。アドバイスをお願いします!
「姿勢が大事なので、まっすぐ立つ姿勢と、足をおへその高さまで引き上げたときに、きちんと立てるかをやってみてください。パッと足を引き上げたときに頭がブレないこと、下半身の筋肉で支えられるかがすごく大事です。あとは足の指でかむということも現代の子供たちには必要だと思います。足でかめないと、バランスが取れずに捻挫や転倒がしやすくなったり、衝撃が膝や腰にくることもあります。まずは裸足でタオルを引き寄せる運動を取り入れてみてください」

 今後もKOBA式体幹バランストレーニングは、日本を代表する選手を支えていくだろう。どのような選手が誕生するのか期待したい!!

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。リオ五輪で4連覇を成し遂げた女子レスリング伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、2016年『林先生のあのアスリートを一流にした劇的スイッチ』他多数出演。
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