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ヤング魂 by 長谷川望

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[第140回]MF杉崎皐輔(手代木SC)「繋ぐサッカーのブレイン的存在」
by 長谷川望

 手代木サッカークラブは、茨城県つくば市で活動しているジュニアサッカー少年団。昨年11月にカシマスタジアムで行われた第42回全日本U-12サッカー選手権大会茨城県大会では準優勝を飾っている。

 このクラブの特徴の一つは、コーチ陣が筑波大学蹴球部と筑波大学女子サッカー部の選手たちで構成されていることだろう。様々な角度からサッカーを研究することで知られている筑波大蹴球部と女子サッカー部から直接指導を受けることは子供たちにとって技術面はもちろん、その他にもサッカーに役立つ知識を学べるのが魅力となっている。

 今年新中学生となった学年を、約3年間指導してきた福田紘平コーチに、指導方針を聞いた。「基礎であるボールの止めて蹴るを、3年生から4年生の終わりまで集中して行ってきました。その後は自分たちがボールを持ってサッカーすることを意識してやっていました。サッカー以外のところでは、自分で考えて行動してもらうことを心掛けています。アップも練習が始まる前に自主的に行ってくれたので、練習時間の1時間半をみっちりトレーニングに使うことができ感謝しています」。身につけた自主性は、中学生になっても高く評価されるに違いない。

 今回は新中学一年となった卒業生をピックアップ!

PICK UP選手
 杉崎皐輔(こうすけ)くん(12)。ポジションはミッドフィルダー。キャプテンを務めていた彼の武器は、攻撃の起点となる正確なスルーパスだ。

 取材日は新中学1年生にとって最後の練習。杉崎くんに練習前の想いを聞いた。「手代木SCでは、ボールを大事にして『繋ぐサッカー』を教わりました。今日は今までお世話になった人たちに感謝を伝えたいと思います」と、最後までキャプテンとしての責任感が伝わってくる。

どんな選手⁉
 福田コーチは杉崎くんについてこう語る。「ボールの扱いがとても上手く、トップスピードでドリブルしたり、調子の良い時はボールが吸い付いているようにコントロールできる選手です。性格もしっかりしていて信頼できるキャプテンです」。ピッチ内外で頼れる存在としてチームを引っ張ってきた様子がわかる。

 そして「繋ぐサッカー」がストロングポイントだったこのチームでは、考えてサッカーをすることが重要だっただろう。そのなかでも杉崎くんはチームの中心となっていたことが、チームメイトからの言葉が物語っている。「頭が良くて、足元の技術もあるんですけど、常に自分がどのような状況か考えてプレーしています」「パスの正確性が高い選手です。裏へのスルーパスが上手く、チャンスを作ってくれていました」と、「繋ぐサッカー」のブレインとしてみんなから信頼されていた。

 キャプテンとして心掛けていたことを聞くと「技術面だけではなく、荷物を揃えることなどサッカー以外のことについて積極的に声をかけるようにしていました」と言い、このような働きがチームをまとめ、強さにも繋がっていたのではないだろうか。最後に、卒業記念に作られた選手一人ひとりが書いた「卒団生の言葉」に、冒頭から「このチームのキャプテンで幸せだな」と綴った杉崎くん。彼の数年間の想いが素直に表わされている。

気になる質問‼
――好きな選手を教えてください。
「アザール選手(チェルシー)です。真ん中でプレーをしても、点が取れるところがすごいと思います」

――将来の夢を教えてください!
「プロサッカー選手になって、海外で活躍できるような選手になりたいです!」

――これからも頑張ってください!
「小学校で悔しい思いをしたので、中学では全国大会に出て優勝したいです!」

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。リオ五輪で4連覇を成し遂げた女子レスリング伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、『林先生のあのアスリートを一流にした劇的スイッチ』他多数出演。
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