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マルシオの機転が生んだ柏木の先制点

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[3.12 ACL第2節 浦和4-1ムアントン・ユナイテッド 埼玉]

 立ち上がりから、ムアントン・ユナイテッド(タイ)は守備的な戦いを見せた。試合後、タイのメディアからあまりに守備的な戦い方だったのではないかと指摘されても、ヨカノビッチ監督は「あの戦術は正しかった」と否定し、「あまりにも早い時間帯に先制されたこと、60分以上も10人で戦わなければいけなかったことが、この試合のすべてだ」と反論した。

 ムアンテッドのプランを大きく狂わせた先制点は、前半7分に決まった。浦和レッズが最初に得たCKから、得点は決まっている。通常CKの1本目は、相手の守備がどのような対応をしてくるかを確認することもあり、ゴール前に普通に入れることが多い。しかし、このときキッカーのMFマルシオ・リシャルデスは、やや遠くにポジションを取っていたMF柏木陽介に向かってボールを蹴った。これを柏木が叩きつけると、1バウンドしたボールはゴールに吸い込まれた。

 意表を突かれたと明かすのは、ムアンテッドのDFではなく、得点を挙げた柏木だ。

「2本目にあの形をやろうと、試合前にマルシオと話していましたが、マルシオに裏をかかれましたね(笑)。相手が全員引いていたから『もしかしたら来るかな?』と思いましたが、良いボールが来ました。あんなボレーは多分、初めてだし、あのコースじゃなかったら入らなかったかなと思います」。

 1本目のCKから、トリックプレーを選択した理由について、マルシオは「1回目から、陽介が良い位置にいてくれたから、ああいうボールを入れました。試合前に『2回目でやろう』と話して、イメージは共有できていたと思いましたし、日々の練習や会話の中でコミュニケーションをとれているから挙げられたゴールだと思います」と、してやったりの表情を見せた。

 ACLの広州恒大戦こそ0-3で敗れたが、その後のJリーグ開幕戦の広島戦(2-1)、第2節の名古屋戦(1-0)、そして、この日のムアンテッド・U戦にも勝利し、浦和は公式戦3連勝とした。だが、良いスタートを切ったというには、まだ早いと、柏木は言う。「チームの調子は良いですが、次の大分戦が終わったら、少し間も空きます。そこ(大分戦)に勝って、初めて『良い出だし』と言えると思います」。5年ぶりにアジアの舞台で挙げた勝利に酔うこともなく、先を見据えた。
(取材・文 河合拓)
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