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関根の活躍に「何クソ! この野郎」…ライバルの得点で“駒井劇場”開演

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2アシストを記録した浦和レッズMF駒井善成

[4.26 ACLグループリーグ第5節 浦和6-1Wシドニー 埼玉]

 1対1じゃ止められない。そう感じさせるほど、浦和レッズMF駒井善成は、凄まじい切れ味のドリブルで右サイドを幾度となく切り裂いた。

 Wシドニーは浦和と同じく3-4-2-1のシステムを採用し、ミラーゲームを挑んできたが、駒井は「相手は急造のシステムだったので、絶対に自分が空く場面ができると思った。質さえ良ければ裏1本で抜けられた場面もあったので、ミラーゲームで来てくれた方がやりやすかった」と振り返る。そして、序盤から訪れる1対1の場面で圧倒して存在感を示す駒井のハートに火をつけたのが、前半14分に先制点を奪ったMF関根貴大だった。

 かつて駒井が「僕と関根のところで違いを見せ付けないとダメ」と語っていたように、ドリブラーの2人はアウトサイドに配置され、単独突破で好機を拡大させる、浦和にとって重要なピースだ。MF宇賀神友弥、MF菊池大介らを交えてポジションを争うライバルの一撃だったからこそ、刺激を受ける。「関根が活躍したら、『何クソ!この野郎』という感じ」と笑って答えつつも、「でも関根が1点取ったので、俺も絶対に結果を残したいと思った」と駒井は燃えた。

 そして、“駒井劇場”が幕を開ける。まずは前半18分、右サイドから中央に切れ込むと「ズラ(ズラタン)の動き出しは見えていた」と絶妙なスルーパスをFWズラタンに供給。PA内に走り込んだストライカーが右足つま先で合わせてネットを揺らし、まず1アシスト目。「ちょっと長いかなと思ったけど、つついてくれたズラに感謝している」。

 さらに前半22分には自らが右サイドを深くえぐって、ゴールを強襲したものの、シュートはクロスバーに弾かれて得点とはならず。しかし同43分には、ズラタンのスルーパスから最終ライン裏に抜け出すと、「チュンくん(FW李忠成)が横にいるのは分かった。ワンタッチしようと思ったけど、折り返したときに相手に触れられると思ったので、ダイレクトで出した」と、中央に走り込んだ李へラストパスを通して2アシスト目を記録した。

 思うように出場機会をつかめない現状に、「(出場機会がなかなか訪れない)皆は何も言わないが、悔しい思いを抱えながら、もちろんやっている」。だが腐らずに「常にトレーニングから一生懸命やる」ことで、必ずチャンスは訪れる。そして、出場機会を与えられた試合で「チャンスをつかんでいかないと、ここには居場所はないと思う」と危機感を持ちながらピッチに立っている。

 右サイドで存在感を放つだけでなく、2アシストという結果をしっかりと残した。だが、「満足しない」とキッパリ言い切る。「もっとアシストできる場面もあったし、シュートを決められる場面もあった。もっともっと結果を残し続け、スタメンを奪えるように頑張りたい」と力を込めた。

(取材・文 折戸岳彦)
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