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森脇、苦しい騒動も「“死なないぞ”と」逆転突破導く114分みそぎV弾

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攻守に活躍したDF森脇良太は逆転突破の立役者となった

[5.31 ACL決勝トーナメント1回戦第2戦 浦和3-0(延長)済州 埼玉]

 みそぎの一撃となった。値千金の決勝ゴールを決めたDF森脇良太は「葛藤があった。いろんなものが吹っ切れた」と穏やかな表情で話した。浦和レッズは前半に2ゴールを奪い、2試合合計2-2と試合を振り出しに戻すと、延長戦にドラマが待っていた。

「自分のところにボールが来るんじゃないかと思った。右サイドを上がったときに必ずパスが来ると信じて飛び込みました」。延長後半9分、左サイドのFW高木俊幸が逆サイドにラストパスを届けると、森脇が落ち着いて右足で押し込み、勝利を決める逆転弾を叩き込んだ。

 騒動後、自身にとって初めてのホームゲームだった。5月4日のJ1鹿島戦で、相手選手に対する侮辱的な発言があったとして2試合の出場停止処分が科された。心ない言葉、批判に思い悩むこともあったが、温かい声もあった。「いろんな言葉があったけど、信じてくれる人が僕の周りにはいてくれた」と周囲への感謝を口にし、「みんなの思いがあのゴールにつながったんじゃないかな」と喜びを噛み締めた。

 済州との第1戦で公式戦4試合ぶりの出場を果たしたが、自身も失点に絡み、0-2で先勝を許していた。「どの選手も気持ちの部分で相手を上回ることができた。僕らはだれ一人諦めていなかった」。最終ラインで体を張り、90分間のうちにアウェーゴールを与えないという仕事を全う。相手の鋭いカウンターをストップする場面もあり、無失点勝利に大きく貢献した。

 感極まった表情で涙ぐんだ森脇のゴールを、盟友も喜んだ。DF槙野智章は「彼はこの試合にかける思いがあった。ナイーブになっていたけれど、結果で示してくれた」と復帰を喜ぶ一方、「決して彼の目から涙は出ていなかった。パフォーマンスですね」と“嘘泣き”を告発した。

「僕は涙していたけど、『涙、出てなかったぞ』とイジられました」と笑顔を見せた森脇。苦難を乗り越え、「どんなに苦しいことがあっても森脇良太は“死なないぞ”と。クラブ、サポーター、家族に支えられている。これからも、どんな困難があっても正々堂々と力強く生き続けていく」と自らに言い聞かせるように話した。

(取材・文 佐藤亜希子)
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