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“J対決”制した神戸がACL準々決勝へ!! 横浜FMはまさかの公式戦4連敗で16強の壁破れず

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DF飯野七聖が先制ゴール

[8.18 ACL決勝T1回戦 神戸3-2横浜FM 埼玉]

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は18日、埼玉スタジアム2002で決勝トーナメント1回戦を行い、ヴィッセル神戸横浜F・マリノスとの日本勢対決を3-1で制した。前半7分にDF飯野七聖が先制ゴールを決めると、同11分にFW西村拓真のヘッドで追いつかれるも、MF佐々木大樹とFW小田裕太郎のゴールで加点。最後は1点を返されながらも振り切り、2020年以来2年ぶりのベスト8進出を決めた。

 J1首位を走る横浜FMと、現在16位に沈む神戸とのアジア決戦。神戸はリーグ前節の札幌戦(○2-0)から中4日で同じスターティングメンバーを起用し、FW大迫勇也が先発した一方、MFアンドレス・イニエスタとFW武藤嘉紀はベンチスタートとなった。対する横浜FMはリーグ前節の湘南戦が台風の影響で中止。10日のルヴァン杯準々決勝・広島戦(●1-2)以来の公式戦となり、7日のJ1第24節・川崎F戦(●1-2)で負傷交代したFW西村拓真が先発に入った。[スタメン&布陣]

 試合は序盤からオープンな展開となり、大きくスコアが動いた。まずは前半7分、横浜FMはDF實藤友紀の縦パスがMF汰木康也にカットされ、ここから神戸のカウンターがスタート。汰木は持ち味のドリブルで縦に突破し、右サイドにスルーパスを送ると、これに右サイドハーフ起用の飯野が反応。DF永戸勝也の追走を振り切ってゴール前に切れ込み、落ち着いて右足で流し込んだ。今夏サガン鳥栖から加入した飯野はこれが加入後初ゴール。ACLデビュー戦でさっそく大仕事を成し遂げた。

 もっとも横浜FMも譲らない。前半9分、テンポの良いパス回しで右サイドで攻撃を組み立て、最終ラインの實藤が右に鋭いパスを通すと、DF小池龍太がワンタッチでフリック。これに抜け出したFW仲川輝人がゴール前に低弾道のクロスを送り込み、後方から飛び込んだ西村がダイビングヘッドで押し込んだ。

 その後は神戸が優勢を保ち、前半15分、左サイドを汰木が鋭く突破し、横パスを大迫が収めて後ろに送ると、これに反応した山口がダイレクトで強烈なミドルシュート。だが、これは惜しくもクロスバーに弾かれる。同18分には中盤でボールを競り合った岩田のスパイク裏が大迫の頭に当たり、大迫は頭を押さえて転倒。だが、アリレザ・ファガニ主審はカードを出さなかった。

 なおも攻める神戸は前半22分、DF酒井高徳が佐々木とのワンツーで左サイドを攻め上がると、一度めのクロスは相手に阻まれたが、こぼれ球を拾ってすぐさまクロスを配給。これを大迫が頭で落とし、ペナルティエリア内に飛び込んでいた山口がダイレクトで狙った。しかし、これはGK高丘陽平がしっかり腕を出してスーパーセーブ。今季何度もチームを救ってきた横浜FMの守護神がここでも立ちはだかった。

 それでも前半28分、神戸が再び試合を動かした。出足の鋭いプレスバックから飯野がボールを奪い、こぼれ球を拾った山口が鋭い縦パスを差し込むと、右サイドを攻め上がった大迫がゴール前にクロスを供給。これに反応した佐々木がダイレクトシュートを放ち、これが實藤の腕に当たった。いったんプレーは流されたが、飯野のシュートが外れたタイミングでVARが介入。オンフィールドレビューの結果、神戸にPKが与えられ、これを佐々木が落ち着いて決めた。

 そのまま神戸の1点リードで後半へ。前半同様にハイテンポな応酬が続くが、ロングボールをことごとく収める大迫を中心に局面で上回る神戸の優勢は変わらない。後半11分には山口の鮮やかなボール奪取から大崎と佐々木がつなぎ、大迫が強烈なボレーシュート。これは高丘の正面に飛んだが、日本代表エースがさすがの存在感を披露した。

 一方の横浜FMもここからチャンスを連発した。後半13分、FWレオ・セアラのボールキープを起点に短いパスをつなぎ、相手に当たったこぼれ球を拾ったDF永戸勝也が左足シュートを放つと、同14分にはFWエウベルが強烈なミドルシュートを放つ。だが、いずれも前川の鬼気迫るセーブに阻まれ、ゴールを奪うことはできない。

 神戸は後半15分、大迫と佐々木の2トップに代わって武藤と小田を投入。すると同21分、山口のロングフィードが右サイドの飯野に通り、ゴール前にクロスを送り込むと、小田がスルーしたボールをDF大崎玲央がダイレクトで狙った。だが、これは大きくゴールの上。ピンチを免れた横浜FMは同22分、最初の交代を行い、實藤と仲川に代わってMF藤田譲瑠チマとMF水沼宏太を入れた。

 その後は横浜FMが一方的に攻め立て、出足の落ちた神戸を追い込んでいく。後半29分、左右の幅を広く使った攻撃からMF喜田拓也が浮き球を収め、惜しいボレーシュート。同32分には喜田に代わってFWアンデルソン・ロペスを投入し、4-1-5のような超攻撃的布陣でさらに火力を上げた。

 ところが後半35分、オープンな攻勢を制したのは神戸だった。前川のロングキックを武藤が頭でそらし、左サイドを突破した汰木のクロスはファーサイドに流れたが、飯野が懸命なスプリントでラインを割らせず、二次攻撃をスタート。大崎のスルーパスに抜け出した山口がゴール前に折り返し、ニアゾーンに立っていた小田が右足ワンタッチでゴール上を射抜いた。

 これでスコアは3-1。2連リードとなった神戸がコーナーキープで時間を使う中、横浜FMは後半44分、エウベルトのワンツーからゴール前に侵入したA・ロペスがゴールを決め、1点差に迫った。しかし、反撃はここまで。死闘を制した神戸が準々決勝に進み、横浜FMはまさかの公式戦4連敗で2020年に続くベスト16敗退となった。

 準々決勝の組み合わせは20日の抽選会で決まる。

(取材・文 竹内達也)
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