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死闘制した浦和が3年ぶりACL決勝進出!! 絶体絶命ビハインドから120分ユンカー劇的同点弾、PK戦で西川が圧巻2本ストップ

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浦和レッズがACL決勝進出

[8.25 ACL準決勝 浦和 2-2(PK3-1) 全北現代 埼玉]

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は25日、準決勝を埼玉スタジアム2002で行い、Jリーグ勢で唯一勝ち上がっていた浦和レッズが3年ぶり4回目の決勝進出を決めた。2-2で迎えたPK戦で全北現代(韓国)を下し、東地区トーナメントを突破。西地区代表との決勝は来年2月、ホーム&アウェーで行われる。

 19日から中2日で続くACL決勝トーナメント3連戦もいよいよ最終戦。浦和は22日の準々決勝パトゥム・U戦(○4-0)と同じ11人をスターティングメンバーに並べ、準々決勝から先発のMF関根貴大を除く10人は3試合続けてのスタメンとなった。[スタメン&布陣]

 試合は拮抗した立ち上がり。最終ラインからのビルドアップで攻撃を組み立てる浦和に対し、全北は最前線に君臨する189cmのFWグスタボへのロングフィードでシンプルな攻め手を繰り出す。そうして迎えた前半7分にはヒヤリとするアクシデント。全北は右サイドからクロスを送ると、浦和はGK西川周作がキャッチしようとしたが、遅れて飛び込んだグスタボとDF酒井宏樹が交錯し、一時両者ともピッチに倒れ込んだ。

 それでも大事には至らず、プレー再開後の前半11分、さっそく浦和が試合を動かした。相手のクリアボールが右サイドでタッチラインを割ったが、ボールパーソンからすぐさまボールを受けたFWダヴィド・モーベルグがスローインでクイックリスタートすると、MF伊藤敦樹からのリターンを受けたモーベルグが相手DFの間を抜く浮き球パスを配給。これに抜け出した酒井がゴール前に鋭いクロスを送り、ニアに飛び込んだFW松尾佑介が押し込んだ。

 横浜FCから今季加入の松尾はこれで今大会6ゴール目。決勝トーナメントではお膳立て役に回る形が続いていたが、この大一番でついに結果を出し、得点ランキングでも東地区トップのFWゼカ(大邱FC)に1点差に迫った。

 その後は全北現代のパワーに押し込まれる場面もあったが、DFアレクサンダー・ショルツとDF岩波拓也を中心とした最終ラインが安定した守備を見せ、ひとたびボールを奪えば落ち着いたビルドアップでピンチを長く続けさせない。前半31分には速攻から伊藤が鋭いミドルシュートを放ち、GKイ・ボムスを強襲した。

 流れを取り戻しかけた全北は前半34分、早くも最初の交代カードを使い、トップ下のFWキム・ジンギュを下げて左ウイングのFWマドウ・バロウを投入。準々決勝の神戸戦で逆転に導く1ゴール1アシストを記録したガンビア人ドリブラーに反撃を託した。すると同37分、さっそくバロウの突破からチャンスを創出。最後はFWソン・ミンギュがペナルティエリア際から鋭いシュートを放ったが、ショルツがかすかに触って枠を外れた。

 全北は後半開始時、MFリュ・ジェムンに代わってかつてC大阪や柏などで活躍した元JリーガーのMFキム・ボギョンを投入。すると同7分、全北がビッグチャンスを迎えた。左サイドを攻め上がったバロウが斜めのパスを送ると、これを受けたソン・ミンギュにDF大畑歩夢がスライティングタックル。アリレザ・ファガニ主審はPKの判定を下した。

 ここでVARの介入があり、ファガニ主審はピッチ脇のモニターでオンフィールド・レビューを行ったが、判定は覆らず。キッカーのMFペク・スンホのキックが左に決まり、浦和は同点に追いつかれた。

 後半15分、浦和はMF岩尾憲の右コーナーキックが不発に終わると、ここから全北のカウンターがスタート。バロウに大畑が寄せ切れずに突破を許すと、スルーパスからソン・ミンギュに抜け出された。だが、ここで懸命に戻っていたMF小泉佳穂が決死のスライディング。1点ものの大ピンチだったが、背番号8の献身的なスーパープレーで試合の均衡は守られた。

 浦和は後半18分、関根に代わってMF大久保智明を投入。それでも劣勢は変わらず、同22分にはロングボールを立て続けに頭でつながれ、またしてもバロウにゴール前に侵入される。最後はなんとか酒井が戻って対応したが、危険なシーンだった。

 徐々に前に出られるようになった浦和は後半34分、ペナルティエリア右を小泉が抜け出すも、中央を狙ったクロスは惜しくも通らず。直後、連戦で疲れの見えた小泉、松尾、大畑を下げ、FWキャスパー・ユンカー、FW江坂任、MF明本考浩を入れた。同35分にはまたも全北のカウンターが炸裂。バロウのパスを受けたソン・ミンギュにシュートを放たれたが、かろうじて枠を外れた。

 後半37分、浦和は大久保のスルーパスにユンカーが抜け出すも、ニア上を狙ったシュートは枠外。同45分、浮き球のフィードに反応したユンカーが右サイドを攻め込み、ラストパスをモーベルグが受けたが、左足シュートはゴール上に外れると、アディショナルタイムには江坂のボレーシュートも枠を捉えられず、ビッグチャンスを立て続けに逃した。

 なおも攻め続ける浦和は江坂の浮き球パスからユンカーのボレーシュートでGKを強襲し、左CKを獲得。岩尾のキックから岩波、江坂が次々と決定的シュートを放つが、相手の好手に阻まれる。さらに直後、明本のボール奪取からカウンターを開始。明本、江坂とつないだボールがユンカーに渡るも、シュートは左ポストに弾かれ、跳ね返りを拾った江坂のシュートも相手GKに阻まれ、勝ち越しゴールは決まらず勝負は延長戦に持ち込まれる形となった。

 全北は決勝トーナメント1回戦の大邱FC戦(○1-0)、準々決勝の神戸戦(○3-1)に続いて3試合連続の延長戦。浦和がボールを持ち続ける展開となったが、しっかり守備を固めてくる相手になかなか決定機を作れない。延長前半11分にはカウンターからモーベルグが右サイドを抜け出し、ゴール前に鋭いクロスを送るも、江坂はうまく合わせられず、時間がそのまま過ぎていく。

 全北は連戦の消耗で足が止まっており、PK戦狙いの様相。浦和はスペースのあるサイドを突きながらなんとかゴールを奪いに行く。延長後半4分には相手カウンターを受けるも、明本が身体を入れて阻止。同6分には伊藤に代わってMF柴戸海が入った。

 延長後半7分、右サイドを鋭く突破した酒井のクロスに江坂が右足ボレーで合わせるも、うまくミートせずにゴール上へ。すると同10分、セットプレーからまさかの失点を食らった。相手のショートコーナーに寄せ切れず、フリーでMFイ・スンギのクロスを許すと、ニアサイドでMFハン・ギョウォンに合わせられ、フリックシュートでゴールを射抜かれた。

 その後は浦和が猛攻を仕掛けるも、全北は息を吹き返したようなカウンターを繰り出し、試合はオープンな展開に。すると同15分、浦和もスコアを動かした。右サイドを突破した酒井のクロスを起点に波状攻撃を繰り出すと、大久保がつないだボールを明本がGKを強襲するヘッドを放ち、こぼれ球に反応したのはユンカー。冷静にニアポスト脇を打ち抜き、劇的な同点ゴールが決まった。

 絶体絶命のピンチを脱した浦和。浦和サポーターが陣取るゴール裏前でのPK戦に持ち込んだ。先攻は全北。1人目キム・ボギョンのキックを西川が止めると、浦和はショルツが成功し、早々にリードを奪った。

 すると2人目もイ・スンギのキックを西川が止め、ホームの声援を背負った守護神が大活躍。浦和はユンカーが成功した。3本目はDFパク・ジンソプに決められ、浦和はモーベルグがGKに止められて失敗。それでも4本目、全北はキム・ジンスがゴール右に外すと、浦和は江坂が決めて3-1で決勝進出を決めた。

(取材・文 竹内達也)
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