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浦和“奇跡の同点弾”を生んだ強烈タックル…酒井宏樹がACLで示した覚悟「当時は誰一人、この移籍に賛成の人はいなかった」

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同点ゴールを生んだ浦和レッズDF酒井宏樹のタックル

[8.25 ACL準決勝 浦和 2-2(PK3-1) 全北現代 埼玉]

 強度の高い全北現代が、浦和レッズが誇る背番号2のクオリティーの高さをあぶり出した。2-2のまま延長戦を終え、PK戦の末に浦和が勝った死闘。8分の先制点と120分のミラクル同点弾をお膳立てし、プレイヤー・オブ・マッチに選ばれたのはDF酒井宏樹だった。

「タフな試合になることは予想していた。日韓対決としてすごく熱い試合だった。勝利を諦めることなく一丸となって120分闘い、次のステージに進むことができた。今はすごくチームを誇らしく思っている」

 スタジアムを震わせる圧巻のプレーは、延長後半も残りわずかとなった120分に生まれた。その4分前、浦和は全北に1-2とされる勝ち越し点を許し、崖っぷちに立たされていた。しかし、敗戦を覚悟している者は誰一人いなかった。

 11人が闘志を共有していることを感じていた酒井は、敵陣右サイドで相手のボールホルダーにタックルを仕掛けてボールを刈り取ると、そこから起き上がって自陣の深い位置へダッシュ。MFダヴィド・モーベルグのパスを受けてクロスを供給し、それがユンカーの同点弾のアシストとなった。

「ただ負けたくない気持ちだけで走っていた。(120分でも)余力はもちろんあった。やらないといけない場面だったので、そこのエネルギーは出さないといけない」と胸を張った。

 また8分の松尾佑介の先制場面については「(イメージを)共有できていたので、彼の姿は見ていなかった。スペースに出したら合わせてくれて良かった。アシストという結果になりましたけど、僕自身はゴールを決めていないので、やはり仲間がいての得点」と強調した。

 昨夏、欧州クラブからもオファーがある中でフランス1部のマルセイユから浦和へ移籍加入したが、「当時は誰一人、家族も代理人も含めてこの移籍に賛成の人はいませんでした」という。

「これが成功だったかどうかは僕自身が証明するしかない。そのためにはACLが非常に重要。まだ何も成し遂げていないが、東アジアで優勝できて、決勝に進めたのは僕にとって非常に大きい」と語った。決勝はシーズンをまたいで来年2月に行われる。相手は未定だが、東地区での決勝トーナメント以上の強度になるのは間違いないだろう。強い相手に対峙してこそ輝く酒井の存在が、よりいっそう際立ちそうだ。

(取材・文 矢内由美子)
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