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中2日のACL3連戦で驚異の300分フル稼働も…浦和MF岩尾憲「今日は納得いくプレーが全くできなかった」

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浦和レッズMF岩尾憲

[8.25 ACL準決勝 浦和 2-2(PK3-1) 全北現代 埼玉]

 中2日の3連戦となったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメントで、浦和レッズMF岩尾憲が驚異の3試合連続フル出場を果たした。それでも120分間を走り抜いた準決勝・全北現代戦の試合後、34歳の口から語られたのは「僕自身は納得できていないし、より勝つために効果的なプレーがもっとできなかったか」という反省の弁だった。

「今日に関しては自分の納得いくプレーが全くできなかったので、チームを救ってくれたみんなと途中から入ってきてチームにエネルギーを与えてくれた選手に感謝したい。次にまたプレーする機会があれば、しっかり自分のパフォーマンスをチームが勝つというところにリンクさせてできるように自分自身をもう一度見つめ直したい」

 ラウンド16のジョホール・ダルル・タクジム戦と準々決勝のパトゥム・ユナイテッド戦で90分、そして準決勝の全北現代戦は120分。岩尾はたった7日間で3試合、合計300分とアディショナルタイムにわたってピッチに立ち続けた。全北戦ではサブメンバー選手が結果を出したが、5枚の交代カードを前線に活用できたのは、イエローカードを出されながらピッチに立ち続けた岩尾への信頼があったからこそ。それでもなお、自らのパフォーマンスには納得がいかなかったようだ。

「ピッチに立っている以上はパフォーマンスを維持し続けないといけない。そこを任されていると思っているので、そういう意味では今日は不十分だったなと自覚している」

 相手がパワフルな攻勢を仕掛けてくる中、デュエルの面で後れを取る場面はそれほどなかったように思われたが、「そこで上回れたかというと上回れていない」ときっぱり。「そこに関しては自分の力不足もあるし、向き不向きもあるけど、そういったところに言い訳せず、より強くなっていきたいとあらためて感じさせられた」。キッカーを任されているセットプレーでも「いいボールを上げられなかったと自覚している。自分自身まだまだ」と述べ、取材エリアでは終始自らに厳しい言葉を突きつけていた。

 試合後にはサポーターから「アジアの制覇は通過点 本気で世界を獲りに行こう」と記された横断幕が掲げられた。ACL開幕当初から使用されていたものだといい、あえて視座を高く向けるためのメッセージであろうが、岩尾は本気でこの言葉に向き合おうとしていた。

「アジアは通過点という言葉も出ていたけど、サポーターの皆さんが目指すステージ、景色、そこに僕らもついていかないといけない。それを実現するのは簡単じゃなくて、いまをしっかり見つめて、足りない部分を補い続けていく、トライし続けていくことでしかそこには辿り着けないと思う。次に進めたことは良かったけど、できなかったことにも目を向けて、特に僕自身が今日は納得できていないので、自分自身しっかり目を向けて、これじゃあまだアジアが取れるかも分からないし、その先の世界と考えた時、パリSGともやらせてもらったけど、その差は決して小さくないので、謙虚に、ひたむきに、コツコツとやっていきたいなと思う」

 “通過点”を着実に踏み締めていくためには、来年2月に控える西地区代表との決勝戦が間近な目標となる。だが、岩尾は「まだ先の話だし、その権利を今日は得たけど、次の試合はJリーグなので、あまりそこに関しては意識してもしょうがない。いまも良い意味で興味がない」と冷静に語る。「次のJリーグに向けて、いま言ったことをしっかり整理して、ピッチに立つことがあればその責任を背負ってしっかりとパフォーマンスできるように準備したい」。押しも押されぬ主力選手だが、実は徳島からの期限付き移籍という立場。まずは目の前の一戦一戦に力を注いでいく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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