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広島がACL2没収試合の原因等を説明…「日本のクラブが海外大会において失敗を繰り返さないよう」再発防止策も提示

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広島が説明

 サンフレッチェ広島は21日、AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)でFWヴァレール・ジェルマンが出場停止中にもかかわらず起用したことで5日の準々決勝第1戦が0-3敗戦扱いの没収試合になったことを受け、原因を示すとともに確認体制の構築や調査を徹底するなどの再発防止策を発表した。

 クラブはジェルマンが前所属クラブでオーストラリアリーグの出場停止処分を残した状態で加入していたため、Jリーグに照会して同処分はACL2に影響しないことを確認したという。またジェルマン本人からUEFAチャンピオンズリーグでの退場についての申告があったといい、Jリーグ担当者から「懲罰通知は選手や所属クラブが書面で受領しているはずなので、選手・元クラブに詳細を確認するようアドバイスがあった」とした。

 するとその後、ジェルマンから「UEFAチャンピオンズリーグではなく、AFCでの大会で出場停止処分が残っているのではないかとの訂正があった」。しかしAFCカップでの出場がある中で退場等の記録がないことを既に確認していたため「引き続き問題ないと判断し当該選手の出場登録を決めた」という。準々決勝第1戦前日のマッチコーディネーションミーティング資料においても出場停止の記載はなく、アジアサッカー連盟(AFC)から試合当日に指摘事項が示されることもなかった。

 ところが試合翌日、AFCから出場資格がない選手を出場させたとして違反通知が届くことに。ジェルマンは実際のところリーグ戦で2試合の未消化出場停止処分があることに加え、別件でAFC大会3試合の出場停止処分がある中で広島に加入していたことが判明。ACL2に影響する出場停止処分は昨年2月22日のAFCカップ地域決勝における試合後の行為が理由であり、AFCから事後的に処分が下されていたためクラブが確認した公式記録には退場等の記載がなかった。クラブはAFCへ弁明書を提出するも、8日にAFCから没収試合などの確定した懲罰処分の通達があったと説明している。

 クラブは今回の件について社内および関係先との確認作業を行い、以下の原因を挙げている。

①AFCのレギュレーションでは「AFC事務局による参加選手の登録の承認は、その参加選手が本大会に参加する資格を有することを意味するわけではない。各参加クラブは、資格を有する参加選手のみを試合に出場させる責任を負う。」となっている。このレギュレーションへの認識の甘さがあったこと。

②オーストラリアサッカー協会の出場停止に関する通知義務は、国内の懲罰未消化に限定されること=「国際大会については、懲罰未消化の通知が届くとは限らない」という認識がJリーグを含め、なかったこと。

③当該選手から出場資格停止の可能性について報告を受けた際、AFCへの直接確認ができるタイミングがあったにも関わらず、詳細なヒアリングを怠たり事案の特異性に気づかず、出場停止の公式記録の確認に終始し、出場可能と判断したこと。

④競技会以外(試合終了後など)での事象で出場資格停止処分を受けた場合、公式記録に記載されないという、レアな事例に遭遇してしまったこと。

 その上でクラブは「AFC等国際大会における業務手順の見直しを行うとともに、レギュレーションや参加資格、海外大会ならではの注意点や問題点等を専門家にアドバイスをいただきながら再確認を徹底します。さらに、海外(AFC)とのコミュニケーションをとれる体制を構築していきます」と再発防止策を示し、「移籍選手の出場停止処分等のクリティカルな情報については、調査を徹底します」「海外案件に関してのJリーグ/JFAとの連携について再確認します。日本のクラブが海外大会において失敗を繰り返さないよう、Jリーグ/JFAの相談機能の強化及び相談ルートの確立を働きかけていきます」との2点も示した。

 なおクラブは外部有識者のアドバイスのもと社内懲罰委員会を経て、雨野裕介強化本部長に基本報酬月額の10%の違約金徴収1か月、栗原圭介強化部長に基本報酬月額の 5%の違約金徴収1か月の処分を決定。久保雅義代表取締役社長は取締役報酬月額10%の自主返納2か月としたが、本人からの申し出を受けて期間は6か月とすることになった。

●ACL22024-25特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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