beacon

痛みをこらえて同点弾、直後に負傷交代の田代「3日で治す」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.19 ACL第4節 鹿島1-1水原三星 国立]

 痛みを押して、気持ちでねじ込んだ。鹿島アントラーズのFW田代有三が意地の同点ゴールを叩き込んだ。0-1の後半9分、MF野沢拓也の右FKを逆サイドのMF遠藤康が角度のない位置からシュート。DFに当たったボールが田代の目の前にこぼれ来た。「運が良かった。上手く自分のところに来た」。左足で蹴り込む同点弾。失点から6分で試合を振り出しに戻した。

 期限付き移籍していた山形から今季鹿島に戻った田代にとって、これが復帰後初ゴールだった。しかし、得点後も喜びを爆発させることなく、痛みに表情をゆがめた。

 後半5分、ロングフィードからスペースに飛び出した際、前に出てきたGKと激しく交錯した。GKの右ひざが右臀部に入り、その衝撃で右股関節を伸ばしてしまった。

「一回プレーに戻ったけど、キックしようとしたらピリッと来て。走るのもかなり痛かった」

 得点後の後半13分に後方からファウルを受けると、ピッチに倒れ込み、立ち上がることができなかった。そのまま担架で運び出され、MF本山雅志と交代。「勝ちたかったし、最後まで出たかったけど、出ても何の役にも立たないと思った」。試合後、足を引きずりながらミックスゾーンに姿を見せた田代は悔しさを隠さなかった。

 FWカルロン、FW大迫勇也が前日練習で負傷し、試合当日に先発を告げられた。ベンチにもFW登録の選手はゼロ。チームの緊急事態で回ってきた公式戦4試合ぶりの先発チャンスに「いつチャンスがあるか分からないし、準備はいつでもできていた。試合に勝つためにいっぱい走って、犠牲になろうと思った」と前線で体を張り、相手DFを押し込んだが、5バックで守備を固める水原守備陣に苦しんだ。

「勝ちたかったし、残念だけど、すぐにJリーグがあるし、それに向けて、早く足を治したい」。中3日の23日にはリーグ再開初戦となる横浜FM戦が控える。「明日良くなってなかったら病院に行く」と話すなど、状況は厳しい。それでも「歩くことはできるので。3日で治します」と早期復帰を誓った。

「今日のゴールの9割はチームに取らせてもらった。もっと自分らしいゴールを決めて、Jリーグでも早く1点取りたい」。FW陣に故障者が相次ぐチーム状況の中、悲壮な覚悟を口にした。

[写真]得点直後に負傷交代した田代

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
ACL2011特設ページ

TOP