[MOM3799]流通経済大柏FW堀川大夢(3年)_誰もが欺かれた鮮やかな決勝アシスト!勝ち気な鬼才の執念と献身

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.16 プレミアリーグEAST第3節 横浜FMユース 2-3 流通経済大柏高 小机]

「後ろをちょっと見て、カッシーが走っていましたし、相手が滑るところもわかっていたので、『じゃあ下げれば行けるかな』と思って出しました」。ピッチ上の誰もが欺かれたような完璧な切り返しでマーカーとGKを転ばせると、冷静にラストパスを残す。

「アレは凄かったよね。全員逆を取られたから。後半はほとんど消えていたのに、これがあるんですよ。そういう意味では良くサッカーを知っているのかなと。今日は大活躍でしたね。絶対打つと思ったし、こっちも全員が『えっ?』て(笑)」(榎本雅大監督)。

 2点差を追い付かれ、ドロー濃厚の後半アディショナルタイム。シビアな土壇場のシチュエーションで、流通経済大柏高(千葉)のFW堀川大夢(3年=セレッソ大阪U-15出身)のとんでもないアシストが、チームに大きな大きな勝ち点3をもたらした。

 難敵の横浜F・マリノスユース(神奈川)と対峙した一戦。いきなり試合を動かしたのも、この11番だった。前半6分。右サイドからDF大川佳風(3年)が縦に運び、よく走ったMF大沼陽登(3年)がパスを付けると、堀川は冷静に周囲を確認し、瞬時にアイデアを実行に移す。

「相手が滑ると思ったので、右に切り返したら行けるかなと思いました。ゴール前でいかに冷静になれるかというところと、逆を突くことは意識していて、練習でよくやっていたので、試合で出せて良かったです」。完璧にマーカーとGKを外すと、目の前に広がったのはゴールだけ。貴重な先制点を挙げてみせる。

 後半もチャンスはあった。ただ、3分に放ったシュートも、追い付かれた直後の45分のシュートも決定的だったが、ともに相手GKのファインセーブに阻まれる。勝ち気な男のことだ。最後は自分が試合を決めてやるという気持ちが誰よりも強かったことは、容易に想像できる。

 そして、45+1分。大沼からバイタルエリアへボールが届く。三たび巡ってきた決定機。11番が右足を振りかぶった瞬間、マーカーもGKも決死の覚悟でシュートブロックに飛び込むと、カミソリのような切り返しで2人を滑らせた堀川は、丁寧に後方へラストパス。ここに走り込んできたDF橿本心(3年)のシュートが、ゴールネットを鮮やかに揺らす。

「『アシストになるかな』と思ったんですけど(笑)、堀川が冷静に判断してくれて、結局ゴールになったので良かったです」(大沼)「いやあ、自分もビックリしました。アイツが一番オラオラしていますし、自分のゴールにしたがるので、打つかなと思ったんですけど(笑)」(大川)「堀川は物怖じしないんですよ。誰にもビビらないし、自分が一番やってやるって気持ちが強いから、それが今日もブレなかったですよね」(榎本監督)。

『一番オラオラしている』アタッカーが、何よりも勝利を最優先して考えた決勝アシスト。「『自分たちならできる』って円陣で話していましたし、絶対最後の1秒まで諦めないということをみんなで話し合った結果、こういう結果に繋がったかなと思います。最後のゴールは『良かったあ』って感じでした」。その圧倒的な才能が、プレミアの舞台で眩く輝いた。

 指揮官から送られている言葉は、常に念頭にあったという。「“ハッタリ”っていうエノさんからの言葉があって、『相手を自分たちより強いと思わない』『日本一の選手になれ』とも言われているんですけど、それは自分も常に意識しています」。日本一の選手になることが、チームを日本一へと導くことに繋がる。真剣にその立ち位置を目指すことは、堀川にとってごくごく当然のことだ。

 そんな男にとって大きな刺激を与えてくれるのが、中学時代のチームメイトでもある北野颯太(セレッソ大阪)の存在だ。「やっぱり刺激にもなりますし、もっともっと自分がやらないといけないとも思います。颯太は上手いだけじゃなくて、ハードワークもできる選手なので、自分もそういった選手にもっと早くなれるように、練習から頑張っていきたいです」。基準はハッキリしている。旧友と再びピッチで出会うことを目標に、日々の練習に向き合っていく。

 チームを牽引していく覚悟はとっくに定まっている。今シーズンの自分が為すべきことも実に明確。「もっともっと自分としては欲を出していかないといけないですし、自分が得点を獲ることによってチームも勢い付くと思うので、1試合1点を目標にしてやっていますし、自分が先頭に立ってみんなを鼓舞し続けていきたいです」。

 誰もがその能力を認める流経大柏の鬼才。いよいよ堀川のリミッターが外れるのであれば、対峙する相手はその脅威に振り回されることを、大いに覚悟しなくてはならない。

(取材・文 土屋雅史)

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