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[新人戦]合言葉は「一番になろう」浦和西が25年ぶりの決勝進出!:埼玉

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[2.11 埼玉高校新人大会準決勝 本庄一1-2浦和西 西武台第2G]

 平成23年度埼玉県高等学校サッカー新人大会準決勝が11日、新座市の西武台高第2グラウンドで開催され、第1試合ではノーシードの浦和西が本庄一に2-1で勝利。浦和西は12日の決勝で西武台と戦う。

 かつて選手権で全国制覇を成し遂げ、前G大阪監督の西野朗氏らを輩出した伝統校・浦和西が25年ぶりとなる埼玉新人戦決勝進出だ。前半主導権を握っていたのは4年ぶりに4強へ進出してきた本庄一。2バックの攻撃的システムからポゼッションの高いサッカーを繰り出すと、縦横の揺さぶりで浦和西を走らせていく。前半6分にはディフェンスラインのギャップをついて飛び出したMF一場脩馬(2年)が右足ダイレクトで決定的なシュート。また11分には一場のスルーパスでPAへ侵入したMF吉田篤史(2年)がGKと1対1となった。ただ、いずれも浦和西GK栗原大地(2年)がビッグセーブ。優勢だった時間帯を得点に結びつけることができない。

 一方、浦和西は1トップに位置するFW榎本亮太(2年)のキープ力、頭脳派の右MF富岡優斗主将(2年)と2シャドーの一角である10番MF山崎勇輔(2年)の技術と判断力の高さを活かして反撃を試みるが、山崎が「相手がスゴク強かった」と振り返ったようになかなか形のいい攻撃をすることができなかった。それでも後半、榎本と山崎との距離を近づけて攻撃の起点をつくると本庄一の手薄なサイドのスペースを突き出す。そしてCKを連続で獲得すると9分、MF河住祥旗(2年)の右CKをニアサイドの山崎が頭で合わせて先制点を奪った。

 畳み掛ける浦和西は再三ボールに絡んで攻撃を組み立てた山崎の右足ダイレクトボレーや視野の広さを感じさせる富岡の捌きと縦への仕掛けなどからチャンスを連発。そして13分、ショートカウンターから山崎のスルーパスを富岡が中央へ折り返し、河住が左足シュート。本庄一ディフェンス陣がクリアに手間取った隙を逃さずにゴールエリアへ飛び込んだ榎本が、貴重な2点目のゴールを押し込んだ。

 本庄一は突破力と強烈な左足で攻撃を引っ張るMF加藤竜(2年)を中心に押し返すが、豊富な運動量でチームに貢献した右SB黒須亮太(2年)のインターセプトや好セーブを連発した守護神・栗原など好守を見せる浦和西は追撃を許さない。本庄一は後半ロスタイムに加藤の右アーリークロスをファーサイドで受けたMF吉田千眞(2年)がPKを獲得。これをCB阿部智也(2年)が右足で左隅に決めたが、直後に試合終了の笛が鳴り、浦和西が決勝進出を決めた。

 昨年は県16強が最高成績で、総体予選は県1回戦敗退。選手権予選も2次予選へ進出することができなかった。それでも浦和西の市原雄心監督は「一番になろうと言ってきた」。我慢して勝つためにディフェンスとセットプレーを磨き、メンタルトレーニングにも力を入れてきた。そして今大会では「一番になろう」の合言葉通りにまず南部支部大会を制すと、県大会でも大躍進。テクニックのある前線と粘り強い守りを見せるディフェンス陣とがかみ合って古豪復活を印象付けている。指揮官は「最初は(一番になろうとは)信じられない部分があったと思います。でも彼らはマジメで反応もいい」。全国高校選手権で優勝した市立船橋の朝岡隆蔵監督と日本大時代の同級生でこの日同期による朝岡監督の祝勝会を行うという市原監督は「決勝進出で満足したらダメ。何とか(同級生たちから)パワーをもらって頑張りたい」。

 決勝進出だけではまだ合言葉の「一番になろう」は達成されていない。あと1勝することが重要。それは選手たちも分かっている。富岡は「ここで満足しないで、明日しっかり勝って優勝したい。そしてまだ新人戦なので、もっと練習して勝って自信をつけていきたい」。歴史を塗り替えたイレブンだが、決勝での勝利にもこだわって「一番になる」。

(取材・文 吉田太郎)

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