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[クラブユース選手権(U-18)]展望:Cグループ最注目は鳥栖、激戦区Dグループは選手層随一のFC東京リードもJ3との連戦か

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第40回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

【Cグループ展望】:
清水エスパルスユースサガン鳥栖U-18三菱養和SCユース松本山雅FC U-18

 グループCの最注目は鳥栖U-18だ。寮を建設するなどアカデミーに注力する近年の取り組みが奏功し、初めて九州予選優勝を果たすなどレベルアップ。戦力で見ても、今年は上位に食い込めるだけのメンツが揃う。世代別代表の経験を持つFW田川亨介石川啓人の2トップがチームの顔だが、守備にもU-17日本代表のDF藤松航矢を擁し、穴は少ない。5年ぶりの出場だが、ダークホースとなる可能性は十分だ。

 清水ユースは昨年、「タレントがいない」(平岡宏章監督)状況ながらもベスト16まで進出。今年は189cmの長身を活かした高さ誇るCB立田悠悟や守備のマルチプレーヤー梅村豪など魅力のある選手が後方に揃い、昨年以上の成績が期待される。俊足のFW中野優太、小柄な技巧派MF滝裕太ら攻撃陣の活躍によって、課題である決定力不足を解消できるか期待したい。

 激戦区・関東を勝ち抜いた“街クラブの雄”三菱養和SCもDF杉山耕二、MF齊藤一、FW平山駿と縦のラインに実力者が並び、全国でもJアカデミーをなぎ倒すだけの可能性を秘めている。5年ぶり2回目の出場となる松本U-18は、今季、MF賜正憲杉山俊、FW小松蓮の3選手がクラブ史上初めて2種登録を果たすなど少しずつ育成の成果が出始めている。初出場した際は、グループステージで神戸U-18に0-18で大敗するなど1点も奪えないまま大会を去ったが、今年はチームとしての成長を結果という形で示したいところだ。

【Dグループ展望】:
ヴィッセル神戸U-18FC東京U-18ヴァンフォーレ甲府U-18大分トリニータU-18
「鍛えていただけるグループに入れてもらった。成長できるグループだと思う」。FC東京U-18の佐藤一樹監督がそう評するグループDは実力が拮抗し、四つ巴と言える状況が予想される。とは言え、単純に戦力値で言えば、FC東京が頭一つ抜けているのは確かだろう。左利きの大型ボランチMF鈴木喜丈や、今年からU-23チームが参戦するJ3でゴールも記録したMF生地慶充など各所になど楽しみな選手が揃うほか、U-16日本代表のMF平川怜とMF久保建英のルーキーたちも主力争いに絡み、選手層の厚さは大会随一だ。ただ、「J3でスタメンならJ3という考えもある」と佐藤監督が口にするように、大会中にバッティングするU-23の2試合に主力が回る可能性がある。戦力が読めないため、絶対的な本命と言い切れないのも正直な所だ。

 対抗になりそうなのは神戸U-18。今年は持ち味の細かいパス回しに加え、野田知監督が「狭い局面だけでなく、ピッチを俯瞰できるようなプレーができる」と評するMF野田樹による左右への大きな展開も備えているのが強みだ。FW永澤竜亮向井章人の両翼による突破など攻撃のバリエーションも多く、後は課題である決定力の向上と毎年の課題である夏の暑さを乗り切るスタミナがついてくれば、面白い存在になるはずだ。

 大分U-18は今季から、鳥取や長崎でヘッドコーチを務めた中村有監督が就任。「目指すのはゴール。ボールを失ってでも人とボールがゴールに向かっていく」スタイルの構築を目指しているが、プレミアリーグで下位に低迷するなどまだ道半ばだ。ただし、MF野上拓哉酒井将輝など技術力の高い選手はいるため、ひと皮剥ければ大会を賑わす存在となるのは間違いない。激戦区・関東のラスト1枠に滑り込んだ甲府U-18も、先日、世代別代表に初めて選ばれたDF入間川景太や高い判断力が売りのMF岡野将也などタレントはいる。10番を背負うFW宮川瑞希らの活躍次第では決勝トーナメント行きも見えるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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