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[MOM2174]FC東京U-18FW久保建英(1年)_有言実行の先制点、「結果がすべて」と学んだ16歳

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久保建英が先制点を決め、日本一を引き寄せた

[8.2 第41回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会・決勝 浦和ユース 0-2 FC東京U-18 味フィ西]

 味方を信じ、走り込んでのゴールだった。FC東京U-18浦和レッズユースに2-0で勝利し、2年連続4度目の優勝を遂げた。入りそうで入らない、押し込みながらもゴールが遠い。もどかしい時間帯に先制点を決めたのは、16歳のFW久保建英(1年)だった。

 0-0で迎えたハーフタイム。久保は先輩たち仲間の前で、“自分が点を取る”と強く宣言していたという。そして『有言実行』の場面がやってきたのは後半35分、PA左でMF小林幹がボールを受けると久保は一気に加速した。

「去年から小林選手とはいい関係でできていて、自分がパスを出して小林選手が決めたり、逆だったりは何本もあった。(あの場面も)出てくるだろうなと信じて走っていました」。小林からノールックでのパスを受け、そのまま左足を一閃。二アサイドの隙間をぬってのシュートはゴールネットを揺らした。チームはその後に1点を追加し、2-0で日本一へ立った。

 この日の久保は幾度も見せ場があったが、シュート数はわずか1本。それがゴールへつながった。シュート数の少なさに悔しさがあるのかと思いきや、本人は「自分はこれまで何本もシュートを打って1点とかで、シュート1本で1点というのは初めて。(今日のシュート数は)今知ったばかりですが、結構嬉しいというか自信になりました。練習とかでも1本目のシュートが勝負だと言っていますし、とても嬉しいです」と言う。

 そう語るのも「自分がここ最近、結果がすべてだと思い知らされている時間が長かった」から。今季のJ3ではFC東京U-23の一員として、実に13試合。計1100分プレーしているが、ここまでのゴール数は1。自身のプレーに手応えはあるなか、周囲からの評価や声は厳しいもの。「結果がすべてとはいえ、内容を重視している」と語る久保にとって、それは新たな“気づき”であり、悔しさを覚えるとともにゴールへの渇望がより濃くなっていったようだ。

「J3だったりで、自分の中ではやれていても、結果で示せていなかった。周りから焦っているのではないかと言われたり、自分のなかではあれでも、試合を見に来ていない人とかはインターネットとか(で結果だけ)を見て、“久保は決めていないな”と言われがちだったので……」

 『結果』の大切さを改めて感じたからこそ、この日のゴールという結果は一段と嬉しいものだった。「みんなに喜んでもらえるようなプレイヤーになりたいと思っているので、これに満足せずに結果を出していきたいなと思います」。成熟して見られる16歳だが、まだまだ発展途上。どこまでも貪欲に学びをやめず進化を続ける。

(取材・文 片岡涼)
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