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「歴史を変えたい」4年前のベスト4越え狙う仙台ユースが2点差追いつき、大分U-18とドロー

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後半25分、ベガルタ仙台ユースFW清水一雅が右足で同点PKを決める

[7.22 日本クラブユース選手権U-18大会C組第2節 仙台ユース 2-2 大分U-18 前橋フC]

 第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は22日、グループステージ第2節が行われ、第1節でガイナーレ鳥取U-18に3-1と快勝したベガルタ仙台ユースと、東京ヴェルディユースに1-0で勝利した大分トリニータU-18が対戦した。

 前半ペースを握ったのは大分。「選手がしっかりチャレンジできた」と山崎哲也監督が評価した通り、3-4-3のフォーメーションで両WBが高い位置を取り、ゴール前で分厚い攻めを見せた。

 前半10分、CKのチャンスを得ると、「今大会コーナーキックの調子が良かった」というMF工藤大雅(3年)のゴール正面へのキックに対し、「大雅から良いボールが上がってきたので合わせるだけ。良いコースに行って良かったです」と振り返ったFW小浜耀人(3年)が東京Vユース戦に続く、2試合連続のヘディングシュートを決めて先制。さらに30分、再三右サイドから良いクロスを上げていたMF西城響也(3年)のクロスに小浜が触れ、最後は「中で駆け引きして待っていたらクロスが来ました」という工藤がゴールに押し込み追加点。前半はほぼ一方的な展開で2点のリードを奪った。

 しかし、「2失点したからこそ、やるしかないだろう、とハーフタイムで全体の気持ちがまとまった」と壱岐友輔監督が語った通り、仙台の選手たちはこの状況で吹っ切れて、後半は積極的に前に出始めた。特にDF登録ながら7月のプリンスリーグ東北から左サイドハーフで起用されている佐々木勇輔(3年)が馬力のある縦突破からクロスボールを上げてチャンスをつくり出す。そうした中、後半11分大分U-18に思わぬミスが起きる。DF高崎弘輝(2年)がGK木戸雄登(3年)へとバックパスをするが、これがイレギュラーしてコースが変わり、自陣のゴールに入ってオウンゴールとなってしまう。

 これで勢いづいた仙台は一転して攻勢に転じる。大分陣内に入って決定機をつくり出す中、後半25分、佐々木のクロスがPA内で大分・工藤の手に当たってハンドの判定。PKを獲得した。「PKは決める自信があった」とPAにすぐにボールを持っていたFW清水一雅(3年)が落ち着いてPKをゴール左隅に決めて同点に追いついた。その後、大分も反撃に転じたが、仙台はU-18日本代表候補GK小畑裕馬(3年)を中心に最後まで集中して守り切り、2-2の引き分けに終わった。

 価値ある勝ち点1でC組首位を守った仙台の壱岐監督は「この戦いを前に勝ち点1以上は必ず取ろうと話し、全員が共有のイメージを持ってトライできた」と最低でも引き分けというゲームプラン達成を評価した。

 その上で「前半のセットプレーや1対1での軽い守備で2失点し、一瞬の隙を見せると失点してしまうということを体感したと思います」と前半の反省も忘れなかった。鳥取戦でハットトリックを達成し、この日も同点のPKを決めた清水は上州FC高崎出身。「(家族や知人など)みんな忙しい中、わざわざ見に来てくれて、感謝の気持ちを見せられたら、と思い、点を取れるように頑張りました」と地元で躍動する姿を見せる清水は「ここ3年、ノックアウトステージに進めていないので、自分たちが歴史を変えられたら」と、ベスト4となった2015年以来4年ぶりのグループステージ突破へ意欲を見せた。

 一方、勝ちきれなかった大分は「正直言えば勝ちたかった試合。点を取ったことで勢いを増した相手にビビって、前半できていたチャレンジができなくなったことがこういう結果につながりました」と山崎監督が悔やみ、「今日のゲームからしっかり学んで自分たちらしいサッカーができれば」と選手たちにこの日の悔しさを糧に第3節・鳥取戦へ向かわせようとしていた。工藤も「自分たちのサッカーができるように明後日に向けて練習していきたい」と幅と厚みのある攻撃を積極的に仕掛ける、自分たちのスタイルをもう一度取り戻そうと決意を新たにした。
   
(取材・文 小林健志)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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