[12.29 日本クラブユース選手権U-18大会準決勝 FC東京U-18 0-0(PK4-3) 大宮U18 敷島公園サッカー・ラグビー場]

　第44回日本クラブユース選手権(U-18)大会は29日、準決勝を行い、FC東京U-18(関東1)が3年ぶりの決勝進出を決めた。大宮アルディージャU18(関東9)を相手に優勢を保ちながらも粘り強い守備を崩せず、前後半を0-0で終えたものの、大会規定で行われたPK戦に4-3で勝利した。

「みんなのおかげ。みんなに助けられて勝ったので感謝しかない」。

　試合後、FC東京U-18のMF常盤亨太主将(3年)はしみじみと語った。

　常盤は中村忠監督に「このチームは良くも悪くも常盤」というほどの信頼を寄せられ、この日もボランチのポジションで攻守にクオリティーの高いプレーを見せていた大黒柱。ところがPK戦では、3人目のキッカーで登場し、シュートを枠上に外す痛恨のミス。MF小林慶太(3年)に励まされながら、チームメートの待つ列へと戻ることになった。

　それでも過度に気落とした様子を見せることなく、なんとか気丈に振る舞っていた。「慶太が来てくれて、みんなが支えてくれた。自分があそこで下を向いていたら情けないし、勝ちも来ないかなと思った。負けたら自分の責任だったので、しっかりと最後まで前を向こうと思った」。すると、そこから逆転劇が始まった。

　チームを救ったのは正守護神が準々決勝で負傷したことにより、今大会で初めて出番を掴んだGK西山草汰(1年)だった。3人目までは続けてネットを揺らされたが、4人目と5人目のキックを的確な読みで見事にストップ。一方のFC東京は続く2人が正確にシュートを沈め、決勝進出を決めた。

　常盤は勝利が決まった直後、チームメートに囲まれながらピッチに倒れ込み、ほどなくして安堵の表情を浮かべて立ち上がった。「もう“西山さん”のおかげです。頭が上がりません」。2歳年下のルーキー守護神をそう称えたキャプテンは「本当にみんなに感謝です」と白い歯を見せた。

　FC東京は2連覇を果たした2017年度以来3年ぶりとなる決勝進出。1回戦の名古屋U-18戦(○2-1)こそ1失点を喫したものの、シュート15本を打たれた広島ユース戦(○1-0)を含む直近3試合では無失点が続いており、DF古屋颯眞(3年)、DF石井玲於奈(2年)らが受け継ぐ「東京の伝統」(中村監督)の堅守が快挙を後押ししている。

　一方、攻撃面には課題も残る。この日はMF谷村峻(2年)、MF梶浦勇輝(2年)、常盤の中盤中央3人が絡むビルドアップで多くのチャンスをもたらしたが、FW青木友佑(3年)、MF角昂志郎(3年)、MF梅原翔琉(3年)のシュートがことごとく相手に阻まれノーゴール。指揮官は「サッカーなので点を取らないと勝てない」と30日の決勝に向けて改善を誓っていた。

　そんな決勝の相手は準決勝2試合目の結果により、サガン鳥栖U-18(九州1)に決まった。FC東京にとっては、勝たなければならない理由がもう一つ増えた形だ。

　2017年の高円宮杯第29回全日本ユース(U-15)大会の決勝戦、FC東京U-15深川はサガン鳥栖U-15にPK戦で敗北。鳥栖ではFW田中禅(3年)、MF西村洸大(3年)、DF中野伸哉(2年)ら当時の主力が高校年代でも活躍を続けており、深川の主将を務めていた常盤も3年越しの再戦への思いは強い。

「どっちが来てもという思いはあるけど、鳥栖にリベンジしたい」。準決勝1試合目を終えた取材時点では対戦カードが決まっていなかったが、ひそかに鳥栖との再戦を熱望していた常盤。準決勝でのPK失敗の悔しさも払拭すべく、「今日のぶんを取り返す舞台をみんなが与えてくれたと思っているので、決勝では自分がチームを勝たせたい」と意気込みを語った。

(取材・文　竹内達也)

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