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[MOM3524]鳥栖U-18DF安藤寿岐(3年)_“末次さん”を参考にチームを束ねるキャプテンが、決勝アシストで勝利に貢献!

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サガン鳥栖U-18のキャプテン、DF安藤寿岐

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.25 日本クラブユース選手権U-18大会グループステージ 鳥栖U-18 1-0 FC東京U-18 コーエィ前橋フットボールセンターA]

「そんなに人にワーワー言うタイプではないと思うんですけど、キャプテンということで人に嫌なことも言うようになってくれているし、彼が今年のチームにいてくれることは大きいと思います」。田中智宗監督もその男に向けている信頼を隠さない。

「最初は自分が全然頼りなくて、全然まとまったチームではなかったんですけど、スタッフからも励ましの言葉をもらったり、みんなも協力してくれているので、まだまだ未熟ですけど、チームの支えとなれるような存在になっていきたいです」。誰もが認める2021年のサガン鳥栖U-18(九州1)を支えるキャプテン。DF安藤寿岐(3年=サガン鳥栖U-15唐津出身)のリーダーシップは、チームを確実にポジティブな方向へと導きつつある。

 FC東京U-18(関東9)と対峙した、昨年の決勝カードのリターンマッチ。まずは攻撃面で輝きを放つ。前半20分。左サイドで自らが投げたスローインを、MF増崎康清(1年)が素早く返すと、中央を見据えた安藤は瞬時に状況を判断する。「目の前にディフェンダーがいたんですけど、右側から上げたら良い所に行くなというイメージがあったので、狙い通りかなと思います」。インスイングでニアに入れたクロスを、FW大里皇馬(2年)がドンピシャヘッド。見事なアシストで先制点を演出する。

 もちろん本職の守備面でも躍動する。スタートは左サイドバックを務めていたが、後半途中からはCBへとスライド。やや押し込まれる時間の長くなった展開の中で、相方のDF戸田峻平(3年)とともに1つずつ、丁寧に相手の攻撃を凌いでいく。

 後半12分には左右に揺さぶられるクロス攻撃にさらされ、鳥栖U-18の右サイドから上がったボールを、ファーで折り返されたが、水際で懸命にクリア。「スタッフが責任を持って決めてくれたことなので、自分も自信を持ってプレーできました」というCB起用に応えるパフォーマンスを披露し続ける。

 終わってみれば相手に得点を許さず、きっちりと完封勝利に貢献。「峻平も身体を張ってやってくれていたので、2人のセンターバックがチームを支えられるようなプレーをしていこうという話をしていました。それをプレーで体現できて良かったです」と浮かべた安堵の表情が印象的だった。

 自分の中でイメージしているリーダー像がある。「去年のキャプテンの兒玉澪王斗選手も凄かったですけど、副キャプテンに末次晃也選手(現・関西学院大)という、凄いキャプテンシーを持った人がいて、僕がキャプテンになってからはその人にいろいろなアドバイスをもらっているんです。『チームがうまく行っていない時こそキャプテンの大事さが出る』とか、『苦しい時間帯にプレーでどれだけチームを支えられるかだ』ということを言われたので、末次さんを目指しているというか、参考にさせてもらっています」。

 鳥栖U-15時代には二冠を獲得したチームのキャプテン。鳥栖U-18でも副キャプテンとしてチームメイトの絶対的な信頼を勝ち取り、昨年末の日本一の瞬間もピッチで経験している末次の薫陶を受けているのであれば、そのリーダーシップが本物であることは間違いない。

 粘り強く初戦をモノにした今大会で、成し遂げたい目標も明確過ぎるほど明確だ。「2連覇できるのは自分たちしかいないですし、そんなにプレッシャーは感じていないんですけど、常にチャレンジャー精神を忘れずに、一戦一戦チームとしても個人としても成長して、優勝したいと思います」。

 黄色いキャプテンマークを左腕に巻いた絶対的な主将。いつでも、どこでも、頼れる安藤の存在がチームにもたらす安心感は、きっと苦しい時であればあるほど、よりその意味を持ってくるはずだ。

(取材・文 土屋雅史)
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