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歴史変えた横浜FCユースは4強終幕…FW守屋颯人が示した“9番の覚悟”「決め切れないのは実力不足」

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史上初の3位入賞となった横浜FCユース

[8.1 クラブユース選手権準決勝 C大阪U-18 1-0 横浜FCユース 正田スタ]

 0-1で迎えた後半ラストプレー、最後の猛攻を仕掛けた横浜FCユースは左からのクロスボールにFW守屋颯人(3年)が飛び込んだが、力強く当てたヘディングシュートはゴールマウス上に外れた。「あそこで決めていればヒーローかもしれなかったけど、決め切れないのは実力不足。終わったことはしょうがないでは済まされない」。背番号9を託された者として、敗戦の責任を背負った。

 高円宮杯プレミアリーグEASTではチームトップの5得点を挙げている守屋だが、夏場の連戦が続く今大会はベンチスタートからのジョーカー起用が中心。そのぶん、ピッチ内外に目を配らせながら、チームを支えることに尽力してきた。

「自分が試合に出ていない中で、もちろん出ている人のサポートもそうだし、そして出たら絶対に結果を残してやろうと。出ていても、出ていなくても、ピッチ内、ピッチ外でも自分の良さである“元気”を出して、ベンチの時でも人より多く声を出すことを意識していた。この大会はチームの一体感が問われるので、出ても出ていなくも声をかけていた」

 昨年のこの大会はノックアウトステージ1回戦(ラウンド16)で清水ユースに0-1で敗れて敗退。2年生ストライカーとして先発していた守屋は決定機を外し、相手のエースFW千葉寛汰が1本のシュートを決め切った。「去年のエースの山崎太新を見ていて、彼を勝たせられなかった悔しさもあったし、自分がGKとの1対1を外して負けていたので、その悔しさを持って戦った」。この大会で結果を残すことへの思いは並ならぬものがあった。

 そんな意気込みもあり、今大会の守屋はグループリーグ開幕節の福岡U-18戦(○2-0)、第3節のC大阪U-18戦(○4-0)で途中出場ながら得点を決め、エースとしての結果を残してみせた。また準々決勝の鳥栖U-18戦(○1-0)ではゴールこそなかったが、前線からのファーストプレスで相手の攻撃に制限をかけつつ、セットプレー守備にも力を注ぎ、クラブを史上初の4強に導いた。

 それでも最後はやはり、得点という自らの役割に悔いを残した。

 試合後の取材対応、目の前ではちょうど横浜FMユース対柏U-18の準決勝第2試合が行われており、守屋は同じ街のエースに話を向けた。「後期開幕節のダービーでは自分がGKとの1対1を外して、内野選手が1対1を決めて負けた。そこの差だというのを実感した」。7月10日に行われた横浜FMユース戦、後半30分から出場した守屋は無得点に終わったが、相手のエースFW内野航太郎は後半アディショナルタイムの決勝弾を含む2ゴールを記録。違いを見せつけられる結果に終わっていた。

 決め切れるかどうかで真価が問われる——。守屋はこの大会を通じ、ストライカーの宿命と真っ正面から向き合った。「自分はプレミアリーグでもチャンスがあった中で5点しか決めていない。自分が背負っている9番はストライカーなので、5点じゃ足りない」。プレミアリーグは残り10試合。背番号9は「一日一日を大切にして、少しでもチームの力になれるのを証明できるよう、この1試合を無駄にせずにやっていきたい」と覚悟を見せた。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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