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セットプレーに歓び、悔やんだ決勝戦…横浜FMユース期待の2年生CB畑野優真「いい意味で熱く戦っていきたい」

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横浜F・マリノスユースDF畑野優真(2年)

[8.3 クラブユース選手権決勝 C大阪U-18 3-1(延長) 横浜FMユース 正田スタ]

 セットプレーでスコアが動き続けた日本クラブユース選手権の決勝戦、なかでも横浜F・マリノスユースDF畑野優真(2年)にとっては激動の1試合となった。劣勢の中で奪った値千金の先制弾も、防波堤役を担いながら喫してしまった2失点も、全ての経験を糧にレベルアップを続けていく構えだ。

 試合の立ち上がりからC大阪U-18に一方的に攻められ続けた横浜FM。それでも前半20分、先に試合を動かすことに成功した。ファーストチャンスで獲得した右CKをMF篠原佑岳(3年)がゴール前に放り込み、こぼれ球から再び篠原のクロスが送られると、高い打点で合わせたのは畑野。頭ひとつぶん飛び出すジャンピングヘッドでネットに叩き込み、貴重な先制点を奪った。

「自分でも決められるとはあまり思っていなくて……(笑)。でも自分の特長は空中戦なので。ゴール決めた後は嬉しくて、決めた瞬間は喜びで記憶がなくて、一目散にベンチの仲間に駆け寄ったんですけど、もう喜びと嬉しさしか頭になかったです」。そう興奮気味に話した畑野にとって「バックでも点を取れるところは特長にしていきたくて、自分のストロングポイントだと思うので、そこは活かせてよかった」と大きな手応えになる一発だった。

 その後もC大阪の攻勢が続く中、畑野はGK高橋太陽(3年)やDF高橋謙豪(3年)とともに鬼気迫るシュートブロックを連発。また前半終了間際には後方に飛んできたクロスを熱く吼えながらクリアする場面もあった。「僕は結構そういうタイプというか、良くも悪くも熱くなっちゃうタイプです」。そこで自ら例を挙げたのは自陣でのボール奪取後、ドリブルで左サイドを駆け上がっていった場面。自身の熱いメンタリティは長所だと捉えつつも、制御し切れないところが課題だと捉えているようだ。

「気持ちが入っちゃうとディフェンスとしてはあまり良くないと思うんですけど、前に行っちゃうタイプで、一回ドリブルした場面もあったじゃないですか。バックなら本当はあんなところで体力を使うべきじゃないんですけど、何も考えずに行っちゃうというか、そこはいいところでもあり、課題だと思っています」

 そうした課題が勝負を分けたセットプレー守備にも出ていたという。

 横浜FMは後半33分、C大阪のデザインされたCKで同点に追いつかれると、延長前半9分にもCKをファーで合わせられて追加失点。「セットプレーとなると自分が弾くというのは第一に言われているけど、1点目も2点目もちょっと気持ちが前に出て、ポジションを前に出過ぎてしまった。ファー担当だったのにペナルティマークくらいまで出てしまって、メンタル的な部分でミスがあったのかなと思う」。この2失点が致命傷となっての逆転負け。畑野は「セットプレー2発というのが結構キテます。自分が止められたらというのもあるし、声かけとかでももっと周りを見られていたら……」と悔やみ切れなかった。

 燃え盛る闘争心は誰かによって教えられるものではなく、かけがえない武器になるのは間違いない。それでも目まぐるしい駆け引きが続くサッカーという競技において、時には冷静さも必要になる。畑野はいま、その両者と向き合う取り組みの真っ最中。コーチ陣からもそうした働きかけを受けているようだ。

「たとえばコーチングも言い方って大事じゃないですか。ポジティブか、ネガティブか。僕はネガティブに言い過ぎちゃうことがある。決勝前にコーチから『リーダーシップを取るんなら、自分が守るからお前ら攻撃は頼んだというどっしりさが必要。お前がチームをポジティブにしてくれ』と言われていた。今日もそこは意識はしていたけど、プレーで自分が止めた時に素が出てしまうことがあった」

 ただ単に周囲を鼓舞するというだけでなく、チームに良い影響を与えられるリーダーシップ——。その課題は今後、高円宮杯プレミアリーグEASTの優勝争いを繰り広げるチームの中で向き合うことになりそうだ。「前半戦は怪我をして出られていなかったけど、チームが頑張ってくれて優勝を狙える位置にある。守備者として失点してはいけないので、いい意味で熱く戦っていきたい」。あと一歩で届かなかったタイトル獲得へ、トリコロールが誇る期待のセンターバックは心身ともに成長を遂げていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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