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鳥栖U-15のGK田中晧惺が“崖っぷちストップ”!3年ぶり開催メニコンカップはWESTがPK戦勝利

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PK戦勝利を喜ぶWESTイレブン

[9.11 メニコンカップ2022 EAST2-2(PK6-7)WEST パロマ瑞穂ラグビー場]

 メニコンカップ2022が11日、愛知県のパロマ瑞穂ラグビー場で行われ、チームWESTが2-2から突入したPK戦を7-6で制し、チームEASTに勝利した。

 新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった日本クラブユースサッカーの東西対抗戦。夏に行われた日本クラブユース選手権の優秀選手の中からメンバーを選考し、所属クラブ所在地によって東西に分かれて対戦する。28回目を迎える伝統があり、現在日本代表で活躍する多くの選手が出場した名物大会でもある。

 秋晴れどころか、真夏の陽気。8月に北海道・帯広で行われた本大会を思うと、余計に異常な暑さを実感する。気温計が示したのは35.4度。じっとしているだけで滴り落ちる汗に、クラブユース選手権を優勝したC大阪U-15の主将で、今回のキャプテンも務めたMF平山大河(3年)も「(北海道から)大阪に帰った時も暑いと思ったけど、こっちはもっと暑かった」と流石に音を上げていた。

 ただし試合は観るものを魅了する素晴らしい試合になった。立ち上がりからペースを握ったのはチームEASTだった。バイタルエリアから積極的にゴールを狙う攻撃で相手を押し込む。しかし前半21分のFW仲山獅恩(3年=東京V)のミドルは左ポストを直撃。同30分のMF田中希和(3年=FC東京むさし)のミドルも枠上に外れていった。

 それでも前半40分、FW前田勘太朗(3年=横浜FC)の強引な突破から粘って上げたクロスをFW島崎廉(3年=横浜FC)がエリア内でコントロール。最後はGKの股下を抜くシュートを押し込み、先制点を決める。さらに直後のアディショナルタイム2分にはMF海邊真太朗(3年=横浜FM)のロングパスを胸で収めた仲山がニアを豪快にぶち抜き、リードを2点に広げて前半を折り返す。

 後半に入ると、最初から両チームはGKを含めたベンチメンバー6人全員をそれぞれ交代で出場させる。しかし気温35度の炎天下での一戦。足をつらす選手が多く見られ、退いた選手が再出場する特別ルールを採用。試合展開もチームWESTが持ち直し、拮抗した内容で終盤まで進む。

 すると後半33分、チームWESTはMF大西湊太(3年=神戸)が蹴った左CKを頭で合わせたMF八色真人(3年=名古屋)のゴールで1点を返すと、同38分には左クロスのこぼれ球からDF西川亜郁(3年=神戸)の縦パスを受けた八色が左足弾を突き刺し、最終盤で試合を振り出しに戻してみせた。

 80分で決着がつかなかったゲームは、そのままPK戦に突入。先に勝機を迎えたのはEAST。5人目のDF佃颯太(3年=横浜FC)が決めれば勝利という場面を迎えるが、これをWESTのGK田中晧惺(3年=鳥栖)が左に飛んでストップ。会場を大いに沸かせると、PK戦はサドンデスに突入する。

 決着がついたのは8人目。先攻のEASTは10番FWの前田が枠外に大きく外してしまう。対するWESTはMF山縣優翔(3年=千里丘)がしっかりと決めて、歓喜の輪を作った。

 MVPは2得点の八色に譲ったが、PK戦の“崖っぷちストップ”でチームを救ったGK田中は敢闘賞を受賞。「絶対止めるという気持ちで臨んでいた」とPK戦を振り返ると、「試合中も結構いいセーブが出来ていた。追いついてくれたから、PK戦では絶対にチームを勝たせられるようにしたいと思っていました」と充実の汗をぬぐった。

 金晃正監督も「2点を先行されて苦しくなったけど、ハーフタイムに最後までしっかりとゴールを目指そうと話した。そこが結果に出たのかなと思いますし、観ている人が楽しいサッカーが出来たのかなと思います」と勝利の余韻に浸っていた。

(取材・文 児玉幸洋)
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