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差し歯で臨んだ昌子の覚悟「自分が全部守ってやる気持ちだった」

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体を張った守備で完封に貢献したDF昌子源

[12.14 クラブW杯準決勝 A・ナシオナル0-3鹿島 大阪]

 南米王者の強力攻撃陣を封じ込めた。鹿島アントラーズはGK曽ヶ端準がビッグセーブを連発し、マン・オブ・ザ・マッチに選出されると、DF昌子源とDF植田直通の両センターバックも体を張ったディフェンスでアトレティコ・ナシオナルの猛攻を跳ね返した。

「強かったし、特に前半は苦しかった。0-5ぐらいで負けていてもおかしくない試合展開だった」。昌子の言葉どおり決定的なピンチは何度もあったが、曽ヶ端がゴールを死守し、クロスバーにも助けられた。「全員でしつこく守れた。バーにも救われて、うちの試合になってきたのかなと思う」。前半24分には昌子のビッグプレーも飛び出した。

 FWジョン・モスケラのシュートがクロスバーを直撃し、逆サイドに跳ね返ると、FWオルランド・ベリオが右足ボレーで狙ったが、カバーに入った昌子がゴールラインぎりぎりでクリア。この直後にPKによる先制点が生まれた。

「クロスバーに当たってソガさん(曽ヶ端)の逆サイドに行って、ソガさんは間に合わないと思ったし、あれはDFのセオリー。当たり前のことをしただけ」。自身のファインプレーも淡々と振り返ると、後半の試合展開には「相手には時差も長距離移動もあって後半はダウンした。あのテンションで後半も入られたら嫌だったけど、思った以上に相手が落ちた」と冷静に分析。疲労と焦りから徐々に正確性を欠くA・ナシオナルの反撃を落ち着いてしのぎ切った。

 準々決勝のマメロディ・サンダウンズ戦(2-0)では、前半途中の競り合いで前歯が折れるアクシデントに見舞われた。「あの試合の前半は今季ワースト1位、2位に入るぐらいひどかった。これ以上、迷惑はかけられないし、今日は自分が全部守ってやるぐらいの気持ちだった」。仮の差し歯を入れ、痛み止めも飲んで臨んだ一戦。「(差し歯が)割れてもいいと思ってやっていた」。決死の覚悟でつかんだ完封勝利。最終ラインで存在感を見せた背番号3は会心の笑みを浮かべた。

(取材・文 西山紘平)
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