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「僕はそういうチームが得意」決勝点の安部裕葵、後半投入で逆転劇呼び込む

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後半からの出場で決勝点を決めたMF安部裕葵

[12.15 クラブW杯準々決勝 鹿島3-2グアダラハラ アルアイン]

 リズムを変えた。劣勢の展開の中、0-1で折り返した鹿島アントラーズは後半開始からMFレアンドロに代えてMF安部裕葵を投入。今季のJリーグでベストヤングプレーヤー賞を受賞した19歳が左サイドでアクセントとなり、一気に流れを引き寄せた。

 ベンチから見ていた前半はグアダラハラ(メキシコ)の出足の鋭さや球際の強さに対し、「前半のプレー強度には驚いた」としながらも「あれが90分続くとは思っていなかった」と冷静だった。「0-1だったら全然いけるなと思っていた」。その言葉どおり、後半4分にMF永木亮太の同点ゴールで追いつき、同24分にはFWセルジーニョのPKで逆転。後半35分からDF安西幸輝がピッチに入り、2トップの一角にポジションを移すと、その4分後だった。

 左サイドに開いてボールを受けた安部が縦の安西に預け、中に走り込む。リターンパスを受け、PA内に切れ込むと、「トラップしたときに打てるなと思って打った。あんなきれいなゴールはプロに入って初めてかも」と、PA左角の位置から鮮やかに右足でファーサイドに流し込んだ。

 3-1と突き放す貴重な追加点。後半アディショナルタイムに1点を返されたことで結果的に決勝点にもなった。途中出場で貴重な働きを見せた安部のプレーについてDF内田篤人は「(相手のディフェンスが)突っ込んできてくれるほうが彼のプレースタイル、ドリブルは生きる気がする。Jリーグは突っ込んでこないから抜きにくい。逆(を取る)とか、スピードでキュンキュン行くスタイルはより効く」と指摘する。

 安部自身、「Jリーグだと組織的に守ってくるから、一人はがしても2枚目が来る。海外のチームは個人の能力で守ってくる。ACLもそうだし、代表で海外のチームと対戦しても分かっていたけど、僕はそういうチームが得意」と胸を張った。

 19日の準決勝ではレアル・マドリー(スペイン)と対戦する。鹿島が延長戦の末、惜敗した2年前の決勝は「高校の寮でみんなで見ていた」と、当時はまだ瀬戸内高の3年生だった。あれから2年。プロ2年目の19歳は「我慢する時間が長くなると思うけど、我慢するのは日本で一番得意なチーム。しっかり我慢して、勝利に向かっていければ」と意気込んだ。

(取材・文 西山紘平)

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