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[クラブW杯]アジア王者を上回る試合内容も、大谷「勘違いしないようにしたい」

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[12.18 クラブW杯3位決定戦 柏0-0(PK3-5)アルサッド 横浜]

 昨年はJ2だった柏レイソルがアジア王者を苦しめた。アルサッドが柏の攻撃を警戒し、3バックの守備的布陣を敷いてきたこともあるが、ボール支配率は柏が57%、シュート数も13本多い19本を放った。内容では圧倒的に勝っていた。ネルシーニョ監督は決定機を逃してPK戦で敗れたことを悔やみながらも、「90分間の中で勝とうとしていたのはレイソルだった。プレーの内容やフィニッシュの数、ボールキープの割合、いずれもレイソルのほうが上回っていた」と内容ではアジア王者に勝っていたことを強調した。

 来季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)が待ち受ける。この日の戦いは、2007年の浦和、08年のG大阪に続く日本勢の世界3位という栄光と同様に、来年のACLを勝ち抜くための“試金石”とするためにも大事な試合だった。アルサッドには元鹿島の韓国代表DFイ・ジョンスやアルジェリア代表として南アフリカW杯にも出場しているDFナディル・ベルバジ、元マルセイユのFWママドゥ・ニアン、コートジボワール代表FWアブドゥル・カデル・ケイタ、06年に10代でアジア最優秀選手を獲得したFWハルファン・イブラヒムらアジア屈指のタレントがいた。その相手に無失点。アジアを勝ち抜くうえで自信になる試合だった。

 ネルシーニョ監督も「大会を通して、違うスタイルのサッカーをするチームと対戦したことは、非常に貴重で新たな経験だった。チームのステイタスは間違いなく上がり、われわれもプライドを持って顔を上げて戦ってきた。この経験は大きな自信になると同時に、来年につながるものだ。ACLへ大きな材料となった。あとはチームのプランニングが大事なる。必ず決勝戦に出るという気持ちで戦う」と宣言した。

 だが、選手たちは浮かれていない。MF大谷秀和は「監督はよくスタンダートといいますけど、そこを上げていきたい。自分たちのサッカーを続ければ、こういうゲームをできるというのはあるけど、この間のサントス戦でいえば、ポゼッションやシュート数というのは関係ない(柏が上回っていた)。試合が終わって勝っていたチームが強い。そこは勘違いしないようにしたい。ポゼッションが上まったからとか、シュート数が多かったから良いというわけではなく、勝たないと何も残らない。勝つということを目指してやっていきたい」と吐露した。

「組織としては、レイソルはレベルが高いなと思ったけど、攻撃で、チャレンジするという点では、海外の選手のほうがチャレンジする回数が多い。チャレンジするというところは見習いたい。それは攻撃だけではなく、守備もそうです。これはやらないと分からなかったこと。今後につなげていきたい」と大谷は課題も挙げた。今大会、柏は世界と“渡り合う”ことができたが、選手たちは自信をつかむと共に、世界に“勝ちたい”という欲が出てきた。再び柏は『ヴィトーリア』を求めて努力を続ける。

(取材・文 近藤安弘)

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