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日本代表FWハーフナー・マイク インタビュー「ゴール宣言はしません(笑)」

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 今年1月に甲府からオランダのフィテッセへ移籍した日本代表FWハーフナー・マイク。シーズン途中の加入ながら公式戦17試合に出場すると、うち14試合が途中出場だったが、5得点を記録するなど確かな存在感を示した。初の海外挑戦となった半年間のシーズンを終えた今、194cmの大型ストライカーは何を思うのか。W杯アジア最終予選を目前に控えた日本代表FWをゲキサカが直撃した。

―約半年間、オランダでプレーした感想はいかがですか?
「体の強さも全然違いましたし、味方からのパスのボールスピードも全然違ったので、そこに慣れるのに少し時間がかかりました。でも、来シーズンに向けては良い準備ができたと思います」

―シーズン途中での加入は難しかったですか?
「途中から加わることは簡単ではないと思っていました。実際、難しさもありましたが、ミチ(安田理大)がいてくれたこともあって、早くチームに溶け込むことができました。すごく助かりましたね」

―移籍後、わずか2試合目のPSV戦(1-3)で初ゴールを決めました。
「何よりも結果が欲しいと思っていたので、チームに加わって2戦目で点を取ることができたのは個人的にも大きかったですし、自信にもなりました。半年間、先発の機会はあまりなくて、途中出場が多かったですが、ある程度、結果を残すことができて、来季に向けてすごく良い準備ができたと思っています」

―PSV、フェイエノールト、アヤックスという3強との試合は特別でしたか?
「個人的にそういうことは考えていません。でも、強いチームから点を取るのは自信にもなりますし、うれしいことなので。チームが勝てば、もっとうれしかったですけど……」

―リードされている展開での途中出場が多かったですが?
「それでも勝利につながるゴールを挙げることができた試合もありました。少ない時間の中でも、それなりに得点を挙げることができたと思っています。ただ、来季はもっとスタメンで試合に出られるように、シーズンの最初からアピールしていきたいですね。やっぱり結果がすべての世界なので」

―結果がすべて?
「こういう取材を受けることも、結果を残さなかったらないと思うので。J2の鳥栖時代にしっかり結果を残せていなかったら今の自分はないですし、当時の経験が今の自分をつくったと思っています」

―欧州は結果に対してさらにシビアな世界ですか?
「はい。結果を残せないと、すぐに新しい選手が来ますし、常に危機感を持ってがんばっています」

―今季の収穫は何だと思いますか?
「メンタル的に強くなったと思いますし、少ない時間で結果を残せる自信も付きました」

―来季に向けた課題は?
「もっとデカいインパクトを残さないと、スタメンは勝ち取れないと感じたので、来季はそういうところも意識して臨みたいと思います。あとは、もっとしっかり体を張って、攻撃の起点になる場面を増やすことですね。そうすれば個人的にもどんどんプレーが良くなっていくと思いますし、チームのためにもなると思うので。そのあたりをもっと成長させていければと思います」

―日本とオランダ、プレー面で違いはありますか?
「フィジカルの面ではオランダの方が強いというか、日本よりも当たりははるかに強いですね。あとは1対1で勝つことをすごく求められます。とんでもなく強いパスが味方から出てきたと思ったら、『あとはお前に任せたよ』みたいな感じになって、サポートもあまり来ない。その中で自分がどう1対1に勝って、ボールをキープして、味方につなげるか。Jリーグとは違うなとすごく感じましたね。日本では、扱いやすいパスが来て、パスを受けてからも周囲の選手がサポートに来てくれることが多かった。そういうところが日本とオランダでは違うと思います」

―そういう状況でプレーするうえで意識したことは?
「ファーストタッチが一番大事だなと思いましたね。さっきも言いましたけど、味方から本当に強いパスが来るんですよ。しかも浮いたボールだったり、ワンバウンドだったり、カーブがかかっていたり。いろんな質のパスが来る。それをトラップするには、やはりファーストタッチが大事。『相手に取られないようにするためにはどこに転がすか』『どういうふうにファーストタッチをコントロールすれば、ボールをキープできるか』。そういうことを常に意識するようになりました」

―意識することでプレーも変わりましたか?
「そうですね。工夫がないとつぶされてしまうので。自分の体の使い方やボールの置きどころ、相手にボールを取られないようにするプレーは多少うまくなったと思います。でも、まだまだ全然足りないと思いますけどね」

―新スパイクの『プレデター リーサル ゾーン』もそのためのプレーを助けてくれますか?
「驚くほど軽くなりましたし、履いたときのフィット感は格別ですね。本当に自分の足に吸い付くような感じがあります」

―一番大事だというファーストタッチでも違いを生んでくれますか?
「インサイドの『パスゾーン』にスポンジが入っていてすごく柔らかいので、ボールを止めやすいんですよ。インサイドの部分がクッションになっているから、強いパスが来ても勢いを吸収してくれる。すごく自分のプレーを助けてくれていますね」

―いよいよW杯アジア最終予選も始まります。
「経験したことがないので、まったくイメージは沸かないですね。ただ、プレッシャーも3次予選のときより大きいと思いますし、1点勝負の試合にもなると思います。その重圧の中で自分がどれだけできるかも試されると思うので、しっかりとチームの勝利に貢献できるように、練習から集中してやっていきたいですね」

―印象に残っているW杯予選はありますか?
「(ドイツW杯予選の)北朝鮮戦で大黒(将志)さんが点を取ってW杯出場が決まった試合は印象に残っていますね。その試合の印象が強いです。個人的には今回が初めてのW杯予選になるので、出番があれば、しっかりとチームに貢献できるように、すべてを懸けてがんばりたいと思います」

―プレッシャーも楽しみ?
「そうですね。個人的にもまた新たな経験ができると思います。自分に一番足りないのが経験だと思っているので。そういうところが身に付けば、個人的にも成長できると思うし、一選手として今後につながっていくと思っています」

―オランダでの経験は日本代表でも生かせそうですか?
「成長したところを見せないといけないと思いますし、成長したところを見せることができなければ、代表にも選ばれなくなると思うので。オランダで自分が成長したところを見せて、チームの勝利に貢献したいと思っています。
 日本代表に選ばれることはうれしいですし、これからも選ばれ続けたい。そのためには自分が成長を続けないと、下の世代からもどんどん良い選手が出てくるので。自分も成長を続けて、海外で結果を残せば、また次の試合にも呼んでもらえると思う。そういう意味では、代表で結果を残すことも大事ですし、自分のチームで結果を残すことも本当に大事だと思っています」

―新スパイクとともに挑むアジア最終予選へ向けた意気込みを聞かせてください。
「ゴール宣言すると点を取れなくなるので、ゴール宣言はしませんよ(笑)」

―いつごろからそういうスタンスなんですか?
「ずっとです。『ゴールを取ります』って宣言してしまうとダメなんです(苦笑)。それこそJ2のときから、なるべくゴール宣言はしないようにしています。それがここまでの得点数につながっていると思うので、ゴール宣言はしません」

―それではチームとして6月の3試合をどう乗り切りたいですか?
「最終予選では初戦が大事になると思いますし、最初の3連戦で3勝することができれば大きいと思います。その中で自分も勝利に貢献できるように、どんどんゴールに絡んでいきたいと思います」

(取材・文 河合 拓)

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