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[MOM604]静岡学園MF渡辺隼(3年)_3連覇もたらした左利きの10番

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.3 全国高校総体静岡決勝 静岡学園2-2(PK4-3)清水商 エコパ]

 運動量が落ち、決定的な違いを示すまでには至らなかった。それでもその左足と技巧はホンモノだ。静岡学園のMF渡辺隼主将(3年)は昨年U-17日本代表候補にも選出されているレフティー。MF谷澤達也(現F東京)、MF狩野健太(現横浜FM)、MF先崎勝也(現町田)、MF杉浦恭平(現川崎F)、MF吉野峻光(現京都)、MF大島僚太(現川崎F)とこの10年で6人がプロに行っている静岡学園の10番を2年時から背負っている注目MFが静岡学園を3連覇へ導いた。

 この日は前半30分に「クロスです。狙うつもりはなかった」と苦笑いしたものの、左サイドから伸びのあるストレートボールのキックで約40m先のゴールへスーパーゴールを沈め、後半8分には右FKから相手のオウンゴールを誘った。チームに大きな2発をもたらしたのは間違いなく彼の左足だった。

 清水商の厳しいプレッシャーにも顔色を変えることなく、1タッチやアウトサイドでのキックでボールを散らし、ポゼッションの中心となった。ただ自身、周囲も運動量を欠いていたために、ボールをアタッキングゾーンへ進めることができない。下がり目のポジションでボールを失うことはなかったが、渡辺がゴール前に飛び込んでいくシーンや個人技で相手守備陣を切り裂くような場面はほとんど見られなかった。

 周囲はゲームメークだけでなく、相手を打開してからの決定的な役割にも期待する。今年の静岡を代表するタレントでもあるだけに、物足りない部分もあった。ただ、全国切符を掴んだことでこの夏、より成長するチャンスを得た。昨年は全国総体決勝で左足のスーパーミドルを叩き込むなど10番としてチームを引っ張り、大会優秀選手にも選出された。決勝までの6試合を経て大きな成長を遂げた昨年同様、ゴール・アシストでよりチームにも貢献できるはず。「昨年のように個人的にもより成長したい。もっともっとボールに絡んでもっと点に絡むようなプレーをしなければいけない」。プロを次々と生み出している静岡学園の10番の後継者はプロ志望。この夏、結果を残して自身の将来を切り開く。

(取材・文 吉田太郎)
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