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4番・本田が決勝点、「僕自身にとっても大きかった」

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[6.3 W杯アジア最終予選 日本3-0オマーン 埼玉]

 やはり頼りになる男だった。日本代表MF本田圭佑(CSKAモスクワ)の左足が重苦しい雰囲気を一掃した。前半12分、DF長友佑都のピンポイントクロスに走り込み、左足ダイレクトボレーで合わせる。DFの股間を抜けたシュートは名手、GKアル・ハブシの手も届かず、ゴールネットを揺らした。

 のどから手が出るほど欲しかった先制点。前半12分という早い時間の一発に「大きかったですね。僕自身にとっても大きかった」と胸を張る。6万人を超える大観衆に埋め尽くされたスタジアムの雰囲気は、親善試合とはまったく違った。独特の緊張感。「いつもと違う動き方をしたり、一歩遅れたり。そういうシーンが何度か見られた。それは硬さ。初戦だからか、そういう硬さがあった」。じりじりとスコアレスの展開が続けば、何が起こるか分からない。チーム全体が息をつき、余裕を持って試合を進めることができた。

 得点後は右胸、そして背中の4番を指で示した。5月23日のアゼルバイジャン戦から背負う背番号4。「4番が日本でエースストライカーの番号になってもいい。そこは俺が変えていければ。初めて4番で点が取れる選手になれれば面白いかなと」。背番号を変えて2戦目で奪った有言実行のゴールが、負傷離脱する前の最後の代表戦となった昨年8月10日の韓国戦(3-0)以来、国際Aマッチ9点目。本田不在の中、アジア3次予選のラスト2試合を連敗で終えていたチームを立て直す勝利に導いた。

「最後、3-0になって、相手にボールを持たせている時間もあった。4点目を狙う、常に自分たちでボールを保持する。そういうチーム全体のスタンスが足りなかった」。3発快勝にも満足はしない。「アウェーでオマーンと対戦するとき、『もう日本とやりたくない』と思わせるぐらいにできた」。11月14日の敵地での再戦も見据え、オマーンをもっと圧倒する勝利が欲しかった。

 それでも「初戦は結果が重要」と、勝利という結果には納得している。「勝ち点3を取れて、次の試合に向けていい準備をして、そこで(ヨルダンに)勝てれば、いい形でオーストラリアに入れる。イメージとしてはそう」。8日にホームのヨルダン戦、12日にアウェーのオーストラリア戦と続く3連戦。本田の頭の中には、2連勝で敵地に乗り込む青写真が描かれている。

(取材・文 西山紘平)

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