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[総理大臣杯]早稲田大執念の関東制覇!2度のビハインド追いつき、PK戦で筑波大下す!

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[6.10 総理大臣杯関東予選決勝 筑波大2-2(PK6-7)早稲田大 西が丘]

 関東地域の大学ナンバー1を争う「アミノバイタル」カップ2012 第1回関東大学サッカートーナメント大会決勝が10日、味の素フィールド西が丘(東京)で開催され、筑波大と早稲田大の名門同士が激突。1-2の延長後半6分に交代出場のFW宮本拓弥(1年=流通経済大柏高)の同点ゴールによって追いついた早大が2-2で突入したPK戦を7-6で制し、初代王座についた。優勝した早稲田大と筑波大など今大会の上位8チームが第36回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント(7月8日開幕)に出場する。

「『打破する』がチームのテーマ。精神的な限界の3割先に肉体的な限界がある、と言われてきた。オフシーズンから凄い厳しいトレーニングをやってきましたし、OBの皆さんの応援、(会場に来た)出ていない選手たちの顔を見たらやるしかないと。これが110分間走りきれた要因だと思う」。CB畑尾大翔主将(4年=F東京U-18)が勝因について語っていたが、2度のビハインドを追いつき、7人目までもつれ込んだPK戦でも全員が成功した早大の執念の勝利だった。

 試合は常に筑波大が先行する展開だった。前半9分、MF玉城峻吾(3年=三菱養和SCユース)からのパスを左サイドで受けたFW赤崎秀平(3年=佐賀東高)が中央への動きでマークを外してから鮮やかな右足シュートをゴール右隅へ決める。リードを奪った筑波大はこの後もポゼッションで圧倒。古賀聡監督が「攻守において消極的になっていた。守備に追われてしまい、動かされてしまった」と振り返った早大はMF島田譲(4年=鹿島ユース)の高精度の左足キックからMF近藤貴司(2年=三菱養和SCユース)が抜け出す場面こそあったが、MF谷口彰悟(3年=大津高)、MF上村岬(3年=磐田ユース)、玉城中心にボールを動かす筑波大に主導権を握られたまま前半を終えてしまう。

 だが後半立ち上がりからアグレッシブさを取り戻した早大は2分、近藤貴のスルーパスからPAへ飛び込んだFW上形洋介(2年=早稲田実高)が右足で同点ゴールを決める。狭い局面でもテクニックで打開する筑波大は12分に玉城がクロスバー直撃の右足シュートを放ち、赤崎の強烈な右足シュートや豊富な運動量で左サイドを駆け上がるDF山越享太郎(4年=東京Vユース)のオーバーラップ、上村の直接FKなどでゴールへ迫るが、アプローチのスピードを増した早大の守備と運動量の前にボールを失う回数が増加してしまい、スピードのあるFW秋岡活哉(2年=F東京U-18)投入でカウンターの鋭さを増した早大に何度も決定機をつくられてしまう。

 谷口は「一人ひとりの動きが足りない。ミスももっと減らさないと。そして相手を押し込む時間を増やさないといけない」と反省していたが、筑波大は相手を上回る技術を披露していたものの、ゴール前で粘る早大を押し切ることができなかった。
 
 逆に早大の前への推進力は時間が経つにつれて目立っていく。島田のスルーパスから秋岡が決定的なシュートを放つなど決定機をつくる早大は1-1の試合終了間際から宮本を投入。延長前半2分に宮本の豪快な左足シュートがゴールを捉え、5分には左サイドをワンツーで抜け出した宮本のラストパスに近藤貴が合わせる。さらにGK岩脇力哉(1年=磐田U-18)にセーブされたこぼれ球に反応した秋岡がゴール至近距離からシュートに持ち込んだ。

 ただ、直後にも秋岡の決定的なシュートがポストを叩くなどビッグチャンスをものにできなかった早大に対し、リードを奪ったのは筑波大の方。筑波大は延長前半8分、上村のグラウンダーの右クロスを中央のFW瀬沼優司(4年=桐光学園高)が右足ダイレクトでゴールへ沈めるファインゴールで2-1とし、勝敗を決定付けたかと思われた。

 だが、あきらめない早大は連続のCKなどで相手を押し込むと延長後半6分、畑尾のヘディングシュートがクロスバーを叩いた跳ね返りを、宮本がスライディングシュートでゴールへねじ込んで再び同点に追いついた。

 第1回大会の王者はPK戦決着に委ねられた。ともに1人目から6人目までが成功したが、先攻・筑波大の7人目・瀬沼の右足シュートを早大GK松澤香輝(2年=流通経済大柏高)が右へ跳んでストップする。最後は早大の7人目・MF石川拓(3年=日本大学高)が冷静にゴールへ流し込んで早大が優勝を決めた。

 負傷のエースFW富山貴光(4年=矢板中央高)を欠きながらの勝利。島田は「難しい時間もありましたけれど、一緒に戦ってくれた仲間とか、今、気仙沼にボランティアに行っている選手もいたり、この大会の期間を渡っても手厚く支援してくれたOB、組織として全員でつかんだ勝利だと思うので全員に感謝したい。(今大会は)7冠を目指す一環として捉えていて、どこよりも優勝したいという気持ちは上回っていたし、強かったと思う。(全国大会では)2冠目を取れるようにチーム一丸となって優勝だけ、それしか評価されないと思うので、優勝できるように頑張る」。07年に大学日本一を獲得した後、近年は結果が出ていなかった早大。今季は対戦相手の嫌がることをより徹底し、練習の厳しさも増した。どのライバルよりも勝つこと、タイトルを勝ち取ることにこだわり、ピッチ上で表現した名門・早大の関東制覇だった。

(取材・文 吉田太郎)

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