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AFC U-16選手権戦うU-16代表の新たな戦力へ、アピール合戦兼ねた親善試合は1-1ドロー

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[6.20 親善試合 U-16日本代表候補1-1Aspire academy]

 今秋に開催されるAFC U-16選手権イラン2012へ向けてチーム作りを進めているU-16日本代表候補は20日、大阪府内でAspire academy(カタール)と親善試合を行い、1-1で引き分けた。

 9月21日に開幕するAFC U-16選手権まであと3か月。すでにメンバーの6、7割が固まってきており、その多くが5月下旬から6月上旬に行われたカタール/アゼルバイジャン遠征、そして6月上旬のラオス遠征メンバーになるだろうことを吉武博文監督も認めている。その中で17日~20日まで西日本、21日~24日まで東日本でそれぞれ開催される候補合宿は、直前の海外遠征を経験しなかったメンバーがほとんどで、指揮官が「東西のラージキャンプから各ポジションに戦力となる選手、レギュラーを取るような選手が見つかればと思いました。トレーニングをするというよりもいかに理解度があって、今いる選手たちの中に入るものを持っているかを見極めるキャンプ」というように新たな戦力をピックアップする重要な合宿となった。

 その西日本合宿最終日に開催された親善試合。日本の先発には高校1年生ながらG大阪ユースで10番を背負うMF井手口陽介や前・F東京監督の大熊清氏の子息であるMF大熊健太(F東京U-15深川)、FW岩元颯オリビエ(京都U-18)らが名を連ねた。立ち上がりから、ディフェンスラインで丁寧にボールを回し、タイミング良くスイッチを入れて攻撃をスピードアップしようとする日本だが、出し手と受け手の狙いが合わず、難なく相手にボールを渡してしまう場面の連続。ほかにもいい形でボールを奪いながらも加速しようとするところでパスがズレて攻撃に時間をかけてしまうなど、PAまでボールを運ぶことのできない時間が続いた。

 それでも日本は反転から縦へのドリブルでボールを運ぶFW平尾壮(G大阪ユース)やディフェンスラインの背後を狙うMF高田和弥(C大阪U-18)の動きをアクセントに仕掛けると39分、中央を短いパス交換で崩し、最後はMF塚田士文(F東京U-15むさし)のスルーパスに反応した高田が右足で先制ゴールを流し込んだ。「背後を狙うのは得意」という高田のゴールで奪ったリード。相手のショートカウンターに決定機を与える場面もあったが、GK林瑞輝(G大阪ユース)の好セーブなどもあり、日本は1-0で前半を終える。

 交代出場のMF市丸瑞希(G大阪ジュニアユース)を除く10人を入れ替えた後半もボールを支配していたのは日本。左サイドから攻撃を仕掛け、FW戸高裕登(大分U-18)が決定的な左足シュートを放つ場面もあった。だが、MF中井英人(神戸U-18)とMF杉本太郎(帝京大可児高)の両ボランチを中心にボールを動かしているものの、なかなか縦への効果的なパスが出てこない。少しでも判断が遅れると、容赦なく深いタックルを浴びせてくる相手ディフェンス陣に手こずり、判断の悪いパスをカットされてカウンターを食らうなど序々にリズムを失ってしまう。そして苦しい時間が続いたまま迎えた後半ロスタイム、あっさりとディフェンスラインの中央へラストパスを通され、最後はFWジャシム・アハメッド・アル・ジェラービに同点ゴールを押し込まれた。SB、CBとして奮闘したDF丸岡満(C大阪U-18)は「あの時間帯で、疲れている中で声もかけずに、我慢できず自分勝手に飛び出たところに甘さがあった。世界ではそういうちょっとしたことでも突いてくる」

 アピールに成功した選手がいた一方で、苦しい時間帯に期待された技術、精神力、判断力で適応できなかった選手もいた。それでも指揮官は「二重丸とは言わないまでもそれに近い選手をピックアップできた」と収穫面を口にしていた。アジア予選へ向けた生き残り合戦を経て誰がメンバーに食い込んでくるのか。そして96年生まれ主体のチームは世界8強へ進出した94年生まれ主体の「94JAPAN」を越えるインパクトを残すことができるか。丸岡は「(合宿では)初めからアピールしなくちゃ、後には残っていけない。監督も言っていたんですけど、3つ、4つポジションができる選手が残っていくと思う。この夏はクラブユース(選手権)もあるので高いレベルの中で練習から意識を変えて、いつ代表に呼ばれてもいいように練習から変えていきたいと思う」。メンバー入りを懸けた代表候補たちが、それぞれのチームで少しでも成長を遂げて世代全体の力をレベルアップさせる。

[写真]U-16代表候補は井手口らが相手守備陣の打開を狙った
(取材・文 吉田太郎)

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