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途中出場のF東京・米本「僕には失うものはない」

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[6.23 J1第15節 F東京 2-0 C大阪 味スタ]

 準備はできていた。後半13分、MF梶山陽平が右足ふくらはぎを負傷し、交代を強いられた。外から見ていれば、急に出番が訪れたようにしか思えない状況だが、ポポヴィッチ監督から声を掛けられたとき、すでにMF米本拓司の準備は整っていたという。

「ハーフタイムで梶山さんがヤバイかもしれないって聞いていたので、準備はしていました」と振り返る。実際に、ピッチに立ってからも、違和感なくゲームに溶け込んで行った。彼がピッチに立ってからの32分で、チームは2得点を挙げてC大阪に競り勝っている。

「後半の45分で勝てたことが嬉しい」と米本は言うが、自身のプレーが目立った要因については、途中出場だったこともあると話す。「僕が出たときには、相手がバテていたと思うので。落ち着いてプレーできたことは良かったですが、90分をとおしてピッチに立った時はどうなるかは分からない」と、率直に明かした。

 C大阪の中盤には、MF扇原貴宏、MF山口螢というU-23日本代表としてロンドン五輪最終予選を戦ったドイス・ボランチがプレーしていた。ピッチに立ったときに特別な意識はなかったのか。そう聞くと米本は否定も肯定もせずに、こう答えた。

「僕には失うものは別にないので。とにかくチャレンジする気持ちしかなかった。ガムシャラに自分のプレーをする。それを心がけていました」

 現在、チームは中盤に多くのケガ人を抱えている。この試合中にも梶山が負傷した。試合後「大丈夫……じゃないですね」と話した10番は、おそらく4日後の柏戦には間に合わないだろう。

 だが、米本の準備はできている。「次もカジ(梶山)くんがケガしたからチャンスはあると思う。練習からアピールして頑張りたい」と語った。自分の持ち味を存分に出し切り、90分間プレーする。35人のU-23日本代表候補の枠に滑り込んだF東京の7番は、固い決意を胸に、自身にできることを最大限の力でやり続ける。

(取材・文 河合拓)

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