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[総体]選手権王者・市立船橋千葉予選で敗れる!PK戦制した八千代が12年ぶりの全国へ!!

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[6.23 全国高校総体千葉県予選準決勝 八千代0-0(PK4-3)市立船橋 東総]

 選手権王者、千葉県予選で散る――。平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)千葉県予選準決勝が23日、千葉県総合スポーツセンター東総運動場で開催され、1月の全国高校選手権優勝の市立船橋と八千代と対戦。八千代が0-0で突入したPK戦を4-3で制し、12年ぶり13回目の全国総体出場を果たした。

 オレンジのユニフォームが歓喜に舞い、青がピッチに崩れ落ちた。100分間の熱闘を経て迎えたPK戦は先攻・八千代の1人目、CB柳育崇主将(3年)がゴール左へ決めたのに対し、市立船橋の1人目・U-17日本代表FW石田雅俊(2年)の右足シュートは右へ跳んだ八千代GK藤川佳佑(3年)に止められてしまう。市立船橋はGK小田将平(3年)が相手の4人目をストップしたものの、3-3で迎えた5人目に再びリードを許すと、最後はFW小田大樹(2年)のシュートが再び藤川に阻まれて敗退が決まった。

 応援団の元へ向けて走り出した八千代イレブンの隣で涙を流す市立船橋イレブン。選手権王者であり、CB小出悠太主将、CB種岡岐将、SB渡辺健斗(全て3年)といった優勝メンバーを残す総体の日本一候補は全国舞台に届かなかった。今春から八千代を指揮する豊島隆監督は「市船の方が個の能力が高い。その個の能力を抑えられた。前線の選手はドリブルもシュート力もあるけれど、1対1の対応きっちりと、グループですることができた」と表情を緩め、一方の市立船橋・朝岡隆蔵監督は「(今季ワースト?)そうですね。きょうは気持ちの弱い子が多かったかな。守備はできるけれど、プレスバックを含めて前線の運動量が少なすぎました。ウチは運動量、活動量しかない。もう1回前に行くことをやっていかないといけない。この(悔しい)思いを持続することができるか」と選手たちの発奮を求めていた。

 シュート数はともに6本。互いの堅守が印象的な試合であったが、より決定機をつかんでいたのはセカンドボールの攻防戦を制し、FW南直志(3年)を中心にその後ボールを失わない技術も見せていた八千代の方だった。前半18分、大きな展開から左サイドを突破した左SB永戸勝也(3年)のラストパスがこぼれたところを南が決定的な左足シュート。これは相手DFにゴールライン上でクリアされたものの、直後の21分には左サイドのMF桑元麟太郎(3年)がアーリークロスを放り込むと、南のダイレクトの折り返しをFW大塚優が左足でゴールへと押し込む。

 微妙な判定のオフサイドに救われた市立船橋は相手の急所を突く動きを見せたMF藤本心とMF宇都宮勇士(ともに3年)の足技中心にチャンスをつくろうとするが、柳と附木雄也(3年)の強力CBコンビとボールホルダーを2、3人が取り囲む八千代の素早い守りを切り崩すことができない。

 後半、より相手を押し込んでいた八千代は13分に永戸の左FKをファーサイドの柳が折り返し、逆サイドから南が決定的な形で飛び込などゴールへ迫る回数を増やした。市立船橋は小出と種岡の両CBと日本高校選抜MF磐瀬剛(2年)が冷静に危険を回避して得点を与えなかったが、両サイドハーフが押し込まれて攻撃に人数をかけることができない。期待のFW石田がシュートまで持ち込み、延長戦では渡辺が右サイドを個人で切り裂いたが、指揮官の指摘通り、前線の活動量を欠いたチームはプリンスリーグ関東で横浜FMユースを4-0で撃破するなど優勝争いしている強さを発揮できず、課題の残る敗戦を喫した。

 八千代は前指揮官の砂金伸監督率いる習志野との決勝トーナメント初戦では後半ロスタイムに追いつきPK戦で勝利。船橋北との準々決勝でも苦しい時間帯を耐えて選手権王者への挑戦権を得ていた八千代には、タフな試合を乗り越える精神力も備わっていた。プレッシャーのかかるPK戦では「藤川が止めてくれる」と笑顔で出て行く余裕もあった。前評判を覆して12年ぶりの全国大会出場権をつかんだ戦いに柳主将は「まだ実感がないんですけど、昨年全国優勝した市船に勝てて本当に嬉しいです。予選の時からみんなに応援してもらっていたので恩返しがしたかった。(全国大会では)全国制覇が目標です」。高校王者を沈めたオレンジ軍団が、99年以来となる全国の頂点を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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