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「横綱相撲で世界切符を」新戦力発掘のU-16代表候補が親善試合で4発快勝!

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[6.24 親善試合 U-16日本代表候補4-1Aspire Academy]

 13年U-17W杯を目指すU-16日本代表候補が24日、千葉県内でAspire Academy(カタール)と国際親善試合を行い、MF松井輝純(ラッセル郡山FC)の2ゴールなど4-1で勝利した。U-16代表は7月のイラン遠征などを経て、9月開幕のAFC U-16選手権イラン2012(U-17W杯アジア最終予選)に臨む。

 U-17W杯アジア最終予選へ向けた新戦力発掘を主眼に置いたU-16代表候補(東日本)合宿最終日。20日まで行われた西日本合宿最終日のAspire Academy戦は試合終了間際に追いつかれて1-1で引き分けたが、この日は前半から日本が圧倒する。155cmの松井を最前線に配置したゼロトップシステムで臨んだ日本は序盤、ボールを保持しているものの、動きに連動性がなく、球際に強いAspire Academyのブロックに入りこむことができなかった。

 それでも前半19分、試合開始直後からアンカーにポジションを変更していたMF杉山雄太(札幌U-15)がスイッチを入れ、相手DFの背後を取った右MF丹代藍人(青森山田高)が中央へ決定的なラストパス。このビッグチャンスは得点に結びつかなかったものの24分、再び右サイドを抜け出した丹代が中央へグラウンダーのパスを送ると、ファーサイドのMF小林岩魚(甲府U-18)の折り返しを松井が左足シュートでゴール左隅へねじ込んだ。

 鮮やかなパスワークで先制した日本はその後も吉原大(浦和ユース)と上原力也(磐田U-18)の両CBに支えられ、チーム全体が絶妙な距離感でボールを動かし続ける。中盤中央では存在感を示した杉山と佐々木匠(仙台ジュニアユース)、仲條正祥(長野日大高)が自在に攻撃をコントロール。そして41分には左SBから右MFへポジションを移していた山下優人(青森山田高)が相手SBの背後を取ると、そのラストパスに走りこんだ松井が2点目のゴールを決めた。さらに前半ロスタイムには中央から前方のスペースを突いた杉山が強烈な右足ミドル。これが右ポストを叩いてゴールへと吸い込まれ、3-0で試合を折り返した。

 前半途中に投入されたSB佐久間理央(新潟ジュニアユース)を除き、10名を入れ替えた後半は本職ではない2人がCBを務めたこともあって攻撃が停滞。パスコースを増やすことができず、全体的に間延びしてしまう。アンカーで起用された北川航也(清水ユース、11年日本クラブユース選手権U-15得点王&MVP)が捌き、サイドの高い位置まではボールを運んでいたものの、なかなか中央を攻略することができない。10分に左MF望月大(清水ユース)からのラストパスを受けたMF中山雄太(柏U-18)がシュートにまで持ち込んだが、得点できないまま試合を進めると29分、ゴール正面から豪快なミドルシュートを決められて1点を奪われてしまった。

 それでも日本は36分、この日唯一2度起用された山下が右サイドから切れ込み、ゴールマウス直撃の強烈な左足シュート。そして38分には右サイドからゴール前へ入り込んだSB石田峻真(磐田U-18)が一度シュートを止められながらも、自ら詰めて後半唯一のゴールを決めた。ただ、北川のラストパスで抜け出したMF飯野七聖(新潟ユース)が決定機を阻まれてしまうなど、2点目を奪うことはできず。両CBが守備面で奮闘したほか、終盤はポジショニングの課題を修正して攻め続けていただけに北川は「3-0で勝っている中でボクらが出ている中で1点取られて、取り返したんですけど(後半は)引き分けのまま終わってしまった。もっと点取れるチームにしつつ、点を取られずにいくこと。自分も点を取っていきたい」と悔しがっていた。

 この日の試合内容に関して吉武博文監督は「距離感を揃えれば、ある程度ボールが回るし、得点の匂いがするゴール前までもっていけたと思う。ただし、後半が始まる前に掲げた3つの目標を達成できなかったことは残念だった。3-0なので、失点せずにそのままマイボールでキープしながらフェイドアウトしていてもOKというところで失点してしまったのは課題として残った。あとは怪我をしないようにというところで2人怪我してしまった。イエローカードをもらわないという目標は達成できたけれど、2つは達成できなかった」。

 今回開催された西日本、東日本の各合宿からは計2~4名ほどがAFC U-16選手権(グループリーグでサウジアラビア、韓国、北朝鮮と対戦)への重要なシュミレーション合宿となるイラン遠征に帯同する予定だ。U-17W杯出場権獲得へ向けたメンバー選考、チーム作りはこれから最終局面へ突入していく。チームの基盤となるメンバーで2チームを編成して臨んだ6月の海外遠征(カタール/アゼルバイジャン、ラオス)について吉武監督は「収穫があった。アゼルバイジャンの方は欧州のチームやウズベキスタンとできた。堅い守りの中でボールの支配率はあったので、最後ゴール前のところを共鳴していくこと。ラオスの方はゴール前の決定力があった一方で途中はボールが回りにくかった。分からないですけれど合体すればいいチームになっていくと思う。(アジア最終予選は)できれば横綱相撲で世界切符を、というのがあるので早く目標値に達してほしい」。国内合宿でアピールした新戦力を加えた96年生まれ中心の96JAPANは7月、イラン遠征で世界切符獲得のための術と雰囲気をつかんでくる。

[写真]前半41分、U-16代表候補はMF松井が2点目のゴール
(取材・文 吉田太郎)

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