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2度のビハインドを追い付いた鹿島が、首位・広島と引き分ける

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[7.28 J1第19節 鹿島 2-2 広島 カシマ]

 リーグ最多7回の優勝を誇る鹿島アントラーズが、首位に立つサンフレッチェ広島に意地を見せた。前半39分、広島のFW佐藤寿人に先制点を許すが、前半ロスタイムにFW大迫勇也の得点で同点に追い付く。後半3分にも失点を喫した鹿島だが、同29分に再び大迫の得点で試合を振り出しに戻す。その後もチャンスをつくった鹿島だが、逆転ゴールを挙げることはできず。それでも、2度リードされながら追いつく粘りを見せて、リーグ戦5試合負けなしとした。一方、勝ち切れなかった広島も、2位の仙台が引き分けたこともあり、首位の座を守った。

 守備を固めて速攻に出る鹿島は、しっかりと攻撃をシュートで終えて、広島に速攻を許さない。序盤にはMFドゥトラ、DF新井場徹の強烈なシュートで広島ゴールに襲いかかったが、得点は挙げられない。その後も素早い切り替えを見せる鹿島は、広島に攻め込むスペースを与えなかった。しかし、先制点を挙げたのは広島だった。前半39分、MF高萩洋次郎がPA内に入れたボールを受けたFW石原直樹が仕掛ける。ここは鹿島のDF岩政大樹に潰されたが、こぼれ球に反応した佐藤がゴールネットを揺らした。

 このまま前半を終えるかと思われたロスタイム。鹿島も同点に追い付く。右SB西大伍が上げたクロスに対し、広島のDFとGKの動きが重なってしまう。ファーサイドに詰めていた大迫がボールを拾い、無人のゴールにボールを流し込む。これで前半のうちに鹿島が同点に追い付いた。

 後半に入り、いきなり試合が動く。後半3分、CKのチャンスを得た広島は、高萩が入れたボールにDF森脇良太が反応。一度はDFに当たってこぼれたボールに、森脇が自ら詰めて2点目を叩き込んだ。

 再びリードを許した鹿島は反撃に出る。後半15分にはFWジュニーニョとMF遠藤康を同時にベンチに下げ、MF本山雅志、MFレナトをピッチに送り出して攻撃のリズムを変えた。そして同29分、右サイドから鮮やかなパス回しで広島の守備を崩した。西のパスを本山がスルー。ボールを受けたMF小笠原満男はPA内に走り込んだ本山にパス。本山が折り返したボールを再び大迫が決めて、2-2と鹿島が追いついた。その後も鹿島はチャンスをつくる。終了間際に大迫がPA外から右足でシュートを狙ったが、ボールは右ポストを叩き、ゴールは決まらず。このまま2-2で試合は終わった。

 試合後、広島の森保一監督は「2回リードしたという点では勝てた試合とも言えますが、アウェーで鹿島に引き分けたことはポジティブに考えたい。あそこまで(鹿島が)リトリートするとは考えていなかったのですが、上手くやれたと思います」と、引き分けに終わった一戦を振り返った。

 一方、鹿島のジョルジーニョ監督は「ビハインドの状況で追いついたときは、それでいいかなと思いました。しかし、追いついてからの展開を振り返れば、勝てた試合だったと思います」と複雑な表情を浮かべた。それでも2ゴールを挙げた大迫については「関塚監督は友人であるので、冗談を混ぜて『(五輪代表に選ばなかったのは)間違った選択』と言いましたが、僕は『残してくれてありがとう』と言うしかない。これだけ能力があり、今日も2点を取ってくれました。でも、僕は厳しい監督ですので、3得点目、4点目を決めるチャンスがあったので、そこは決められるようになってほしい」と語った。また、序盤は苦しんだ鹿島だが、ジョルジーニョ監督は逆襲への自信を見せた。「後半戦になり、選手はだいぶ僕の求めていることを理解してくれました。また、チーム内の競争力も増してきています。ビハインドでもやり続けられますし、戦術的なクレバーさをチームが理解してくれました。どんな状況であっても同点に追い付ける、逆転できると分かっています。今日も本山、レナトが違うチームの味を引き出してくれました。良い後半戦になるのではないかなという手応えがあります」と語った。

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