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大宮MF東「戦う気持ち、責任感は向こうで強くなった」

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[8.18 J1第22節 F東京 0-1 大宮 味スタ]

 ロンドン五輪で得たものを、ピッチで表現した。約1か月ぶりに大宮アルディージャに戻ったMF東慶悟は、スタメンに名を連ね、90分間フル出場を果たした。「当初は疲労から、前半または後半の45分だけと考えていましたが、彼と話し合った結果、最終的にはスタートから起用することにしました。その決断は正しかった。彼は最後まで非常に良いプレーをしてくれた」とベルデニック監督は称賛した。

 ボールを受ければ味方の攻め上がりを促すキープを見せる。前半36分にはFW長谷川悠が引いてボールを受けると、最終ラインの背後を取った。微妙な判定ながらオフサイドを取られたが、欧州でも評価された出して良し、受けて良しの万能性を見せた。守備でも、相手ボールのときには前線からも積極的にボールを追いかけ、パスコースを限定する。決勝点の場面でも、MF渡邉大剛からパスを受けると、渡邉がダイレクトでクロスを上げられる位置に、リターンパスを返していた。

 決勝点にも絡んだ東は「厳しい状況の中で、なんとか勝てて良かった」と安堵の表情を浮かべた。シュート数だけを見れば、8対18とF東京に圧倒されていたようにも見える。それでも、自分たちが勝てたのには理由がある、と東は語った。

「非常に厳しい試合でしたけど、みんな頑張っていたと思う。F東京の選手より必死にボールに食らいついて、勝利を呼び込もうとしていたので。そういったものをベースに戦っていくことが大事だと思います」

 帰国後、約1週間での試合。世界の強豪国との激闘、背番号10を付けた重圧、心身ともに疲労は蓄積された状態だ。それでも「休んでいられない」と東は言う。

「疲労はありますけど、休んでいられませんし、試合に出る限りは責任を持って戦わないといけないし、まだまだ残留が決まったわけではないので、1試合1試合、大切に戦って行きたいと思います」

 ロンドン五輪へ戦ったことで、得たものは大きい。

「戦う気持ちだったり、責任感は僕自身向こう(ロンドン)に行って非常に強くなって帰ってきたと思います。そういった部分で勝利が転がってきたりすると思うので、試合に入る以前に、そういう気持ちを持って試合に臨むことが大事だと思うし、非常に厳しい位置にいるので、1試合1試合、悔いの残らないように戦いたい」

 この試合、同じくロンドン五輪を戦ったGK権田修一、DF徳永悠平と敵、味方に分かれて戦った。それだけに、1点取りたかったと悔しがる。

「ゴンちゃん(権田)から1点取りたかったですね。まぁ、また次の試合でゴールに絡めるようにしたいです」

 44年ぶりに日本代表を五輪の4強に導いた22歳のMFは、次の目標に向かって走り始めている。

(取材・文 河合拓)

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