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[選手権]「本気で2連覇を狙っていく」全国連覇へ、市立船橋が7発発進!!:千葉

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[8.24 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 磯辺0-7市立船橋 グラスポ]

 第91回全国高校サッカー選手権(12月下旬開幕、国立など)の出場権を懸けた千葉県予選は24日、決勝トーナメントへ突入。1回戦が行われ、昨年度日本一の市立船橋は後半の6ゴールなど磯辺に7-0で快勝し、00、01年度の国見以来となる全国2連覇へ好スタートを切った。

「2連覇、本気でしたいです。もちろん、一戦一戦戦うことが重要。みんな、死にものぐるいでウチを倒そうとやってくると思うし、それ以上の気持ちでやらなければいけない。(ただ、)みんな『2連覇する』と思っている。自分がチームを支えるつもりで、本気で2連覇を狙っていく」。2年時にレギュラーとして日本一を経験しているCB小出悠太主将(3年)がそう言い切ったように、王者の目標は「本気」で2連覇すること。その夢へのスタートとなった磯辺戦は前半こそ相手のアグレッシブな守りにリズムを狂わされたものの、後半の6ゴールで快勝を収めた。

 この日は日本高校選抜DF磐瀬剛(2年)が練習中に負った目の負傷によってメンバー外。だが小出、CB種岡岐将(3年)、MF渡辺健斗(3年)と昨年からの主力たちが先発した市立船橋は序盤から試合の主導権を握っていく。小出と種岡の強力CBコンビを支えに攻守の切り替え速く攻めると、FW森川穣(3年)、MF宮川泰来(ともに2年)、そしてMF柴戸海(2年)がマークを振りきって次々とディフェンスラインの背後へ飛び出し、ゴールを陥れようとする。

 ただ磯辺は王者相手に引いて守ることをせず、高いディフェンスラインと前線からのプレッシングで対抗。小出が「朝からみんな気合入っていて、10分で畳み掛けようと言っていた」という市立船橋だが、相手の思い切った守りにタイミングと精度が微妙にずれ、オフサイドの網にかかったり、簡単にボールを失ってしまう。また、速攻からFW小山直人やFW大貫勇亮(ともに3年)がシュートまで持ち込んでくる相手を圧倒するまでには至らない。

 前半18分、市立船橋は左サイドでディフェンスラインの背後を取った宮川のグラウンダーのクロスから、U-17日本代表FW石田雅俊(2年)がスライディングシュートで押し込んで先制点を奪ったが、26分の決定機を阻止した右SB佐久間勇太(3年)の好守など、粘る磯辺から2点目を奪うことができないまま前半を折り返してしまった。
 
 それでも運動量に絶対の自信を持つ王者は後半、磯辺を圧倒する。4分に渡辺が放った右足FKはゴールマウスに阻まれたものの、13分に石田の左CKを柴戸が打点の高いヘディングシュートで決めて2-0。19分には宮川のスルーパスで抜け出した渡辺が右足シュートをゴールへと沈めて3点差とすると、22分にも左サイドを突破したSB早矢仕久志(3年)の折り返しを中央で受けた石田がPKを獲得。これを自ら右足でゴールへ流し込んで4-0とした。

 相手の高いディフェンスラインに適応し、振り幅の大きな攻撃で磯辺を振り回した市立船橋はその後も左の早矢仕と右の藤田祐平(3年)の両SBがパワーのあるオーバーラップを繰り出すと25分、交代出場のMF中野真悟(3年)のラストパスから同じく交代出場のMF藤本心(3年)が右足でゴール。さらに30分には相手の背後を突いて最前線まで駆け上がった藤田がGKをかわして6点目を決めると、試合終了間際の40分には右サイドの藤本のラストパスを交代出場のFW宇都宮勇士(3年)が決めてゴールラッシュを締めくくった。

 市立船橋にとっては連覇を狙うと同時に無念を晴らすための選手権となる。全国大会に出場すれば間違い無く優勝候補だった高校総体は、勝てば全国大会出場が決まる千葉県予選準決勝で八千代に0-0からのPK戦の末に敗退。前線の運動量を欠いたこと、中盤の距離が開いたことも敗因だったが、最大の問題点は前へ出ることができなかったことだった。それだけに朝岡隆蔵監督は「守備も攻撃も前へ、前へということを徹底しています」。巻き返しのために過酷なトレーニングも乗り切った。恒例の福島夏合宿は「インターハイに出られなかった年は厳しくなる」という通りに。山道の10km走やスキー場の斜面を使ったダッシュなど4泊5日の合宿は3部練習で徹底的に走りこんだ。小出は「(合宿は厳しすぎて)正直、先が見えなかった。でもみんなで励まし合って、メンタル的に強くなって。今は『オレら、負ける訳ねぇ』と思えるようになっている」

 そして王者は夏のフェスティバルで手応えもつかんだ。金沢ユース(U-18)大会では桐蔭学園(神奈川)、鹿児島実(鹿児島)などに勝利し、出雲カップでは決勝でサンフレッチェ広島ユース(広島)に1-2で敗れたものの、全国高校総体4強の立正大淞南(島根)に2-1で競り勝つなど準優勝。最大の武器である攻守の切り替えの速さで相手を上回り、藤田らの台頭もあった。「(全国総体に出場できなかったが選手権のためには)それでも良かった、と言える準備はしています。県を突破すれば行ける自信はある。なんとかいい形にしていきたい」と指揮官。前線のリーダー格である森川は「選手権は2連覇がかかっている。昨年の3年生が結果を残してくれたけれど、自分たちはまだ。まだまだやらないといけない。ただ、全国に出れれば戦えるチームだと思っている」。8月27日の2回戦を突破すれば、3回戦(10月27日、28日)まで期間があるため、そこでまたチームは成長するはず。最大のライバル・流通経済大柏と準決勝で戦う可能性もある厳しい戦いが待っているが、王者はまず県予選を必ず勝ち抜いて全国2連覇への挑戦権を得る。

[写真]後半30分、市立船橋はDF藤田がGKをかわして6点目のゴール
(取材・文 吉田太郎)
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