beacon

[選手権予選]日本一を「悔しい思い」で見ていた選手たちも成長!「まだまだ伸びる」市立船橋が2戦連続7発快勝!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.27 全国高校選手権千葉県予選決勝T2回戦 麗澤0-7市立船橋 スポレク]

 第91回全国高校サッカー選手権千葉県予選は27日、決勝トーナメント2回戦が行われ、昨年度日本一の市立船橋はCB小出悠太主将(3年)の先制ゴールなどによって麗澤に7-0で勝利。市立船橋は10月28日に行われる3回戦で暁星国際と対戦する。

 王者が8月連戦を納得の勝利で乗り越えた。磯辺と戦った24日の初戦では「10分で畳み掛けよう」と臨んだが、相手の高いディフェンスラインを攻略するのに手間取り、前半は1得点のみ。後半は運動量の落ちた相手を圧倒して6ゴールを奪ったものの、選手たちは前半の戦いぶりを反省していた。
 
 だが、この日は小出が「前回出来なかった前半で勝負を決められたので評価できる」と語ったように、前半のラッシュで勝敗の行方を決定づけた。まずは前半6分、U-17日本代表FW石田雅俊(2年)の右CKのこぼれ球を小出が左足でねじ込み先制。10分にMF柴戸海(2年)の展開からMF渡辺健斗(3年)が放った右足シュートはゴール右ポストを叩いたものの12分、右SB藤田祐平(3年)からのラストパスをFW森川穣(3年)が右足で決めて2-0へ突き放す。

 その後も中盤から柴戸が長い距離を走って最前線まで飛び出し、左サイドからは「両SBが上がっていこう、と。運動量を意識してプレーした」というSB早矢仕久志(3年)がまるでウイングかのように次々とドリブル突破を仕掛けて決定機を作り出す。また中盤の底の位置を担う2年生MF田代圭亮が積極的なミドルシュートでゴールを狙った。14分には縦パスで抜けだした石田が右足シュートを決めて3点差。止まらない市立船橋は31分、右サイドのスペースを突いた藤田のアーリークロスをMF宮川泰来(3年)が右足ダイレクトで合わせて4点目のゴールを破った。

 チームがこだわっているのは攻守の切り替えの速さで相手を圧倒することだ。運動量と精度を兼ね備えたダイナミックな攻撃でゴールを量産する市立船橋は、33分にも左サイドから仕掛けた早矢仕を外側から追い越した森川が中央へ折り返すと、ファーサイドから詰めた渡辺が右足シュートをゴール左隅へ沈めて5-0で前半を折り返した。

 ただ、この日は初戦と逆に後半、攻めあぐねてしまった。2人を入れ替えた後半、市村篤志と坂井優(ともに3年)の両CB中心に11人で守りを固めてからのカウンターで1点を狙う麗澤の頑張りの前になかなかゴールを破ることができない。背後を狙う動きが減り、労力を費やさずに攻めようとした結果、相手の網にかかる回数が増えてしまった。逆に前への推進力に優れたFW木島聖斗(2年)を起点に攻めてくる麗澤にPAまでボールを運ばれ、シュートまで持ち込まれるシーンもあった。

 それでも市立船橋は小出とDF種岡岐将(3年)の両CBとGK森建太中心に無失点。そして27分にMF宇都宮勇士(3年)とFW小田大樹(2年)を同時投入すると、この2人が結果を残す。35分、種岡を起点に石田がディフェンスラインの背後へパスを通すと、小田大が右足ループシュートでゴールを破り、後半初得点。そして試合終了間際の40分には右CKのこぼれ球を宇都宮が右足でゴール左隅へ突き刺した。

 目標としていた80分間相手を圧倒し続けることはできなかったが、十分に王者の強さを示す7-0勝利。朝岡隆蔵監督は「今年はインターハイがなかったので、昨年よりも早い段階でチームが伸びてきている。でもまだまだ伸びますよ」と期待する。小出や種岡、渡辺、MF磐瀬剛(2年)といった昨年の喜びを知るメンバーが今年も中心となっているが、同時に光っているのがスタンド、ベンチで日本一を見つめていた選手たちの成長だ。

 全国大会で登録外だった早矢仕は「昨年の選手権で優勝したけれど、悔しい思いしかなかった。本当に悔しくて心の底から応援することができていませんでした。今、応援してくれている人は、出ることができずに悔しい思いを持っていると思う。自分は昨年の悔しい思いを持って、出れない人たちの思いも理解してプレーしている。スタメンとして朝岡さんも使ってくれているので、その期待に応えて、まずは千葉を獲ること」。

 王者には全国優勝した喜びを知る選手たちがいる。同時に市立船橋には悔しい思いをバネに努力をしてきた選手たちもいる。そのパワーも活力に、市船は選手権予選再開までの2か月間で「まだまだ伸びる」。

[写真]前半12分、市立船橋はFW森川が右足で2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2012

TOP