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DF伊野波「監督には『やればできるんだから、しっかりやれ』と言われた」

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[9.11 W杯アジア最終予選 日本1-0イラク 埼玉]

 試合前日の記者会見で、ザッケローニ監督は「現時点で少しまだ悩んでいるところはある」と語っていた。CBはレギュラーとしてプレーしてきたDF今野泰幸(G大阪)に加えて、栗原勇蔵(横浜FM)も出場停止。伊野波雅彦水本裕貴を8月15日のベネズエラ戦(1-1)、6日のUAE戦(1-0)の2試合で45分ずつ起用し、テストしてきたが、どちらを起用するかは悩みの種だったはずだ。「技術面、戦術面、経験の面、パーソナリティーの面にプラスして、フィジカルコンディションを加味し、考慮していく」と語っていた指揮官が、大一番で起用したのは伊野波だった。

 伊野波はイタリア人監督の期待に応えるプレーを見せた。GK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)の活躍もあったが、DF吉田麻也とCBでコンビを組み、完封勝利に貢献している。試合後、伊野波は「ゼロで抑えられたのは一番良かった」と言い、これまではプレーに迷いがあったことを明かした。

「戦術で、迷っていた部分もありました。でも、自分の持ち味を出さないと、自分の感覚を取り戻せないと思ったので、戦術も大事ですが、自分の『前に前に行く』という持ち味を意識してプレーしました。(今までは)どうしても裏を取られたくないから下がってしまうことがあった。でも、それでは自分の良さは生きない。裏に出されたら、そこで対応するのが自分の特長。それは、ここ2日前くらいから考えていました。それでいくしかないって。何度か危ないシーンはありましたけど、前回の試合、前々回の試合に比べたら、しっかり対応できていたかなと思います」

 ベネズエラ戦、UAE戦と、安定したプレーを見せることができなかった。しかし、本番では自分の持ち味を出すことで、完封という結果を出した。試合後には、ザッケローニ監督から、労いの言葉をかけられたという。

「(監督には)『やればできるんだから、しっかりやれ』と言われました(苦笑)。『考え過ぎたり、そういう部分があったんじゃないか』って」

 前日練習後には、吉田も「(2CBと内田篤人の)3人が出られないことは変えられない。これは他の選手にとっては大きなチャンスですし、チームの層を厚くする上でも大事な一戦」と語っていた。ザッケローニ監督にアピールできたこと、それ以上に、どうプレーすべきかという自身が抱えていた疑問に答えを見つけられたことは、大きな意味を持つはずだ。

 後半38分には、CKからシュートを放つなど、攻撃面でも存在感を見せた。「チームでやるより、代表の方がマークに付かれない分、得点のチャンスはあるので。点を取れたら良かったですが、DFとしてはゼロで抑えられて良かったです」と、伊野波は胸を張り、埼玉スタジアムを後にした。

(取材・文 河合拓)
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