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興梠が2ゴールも、鹿島は逃げ切れずに川崎Fと分ける

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[9.15 J1第25節 川崎F 2-2 鹿島 等々力]

 J1は15日に各地で25節を行い、等々力陸上競技場では川崎フロンターレ鹿島アントラーズと対戦した。前半から激しい点の取り合いとなった試合は、6分に興梠慎三のゴールで鹿島が先制する。さらに同16分にも興梠はPKを決めて点差を広げた。対する川崎Fも19分にDF實藤友紀が流れの中からゴールを決め、1-2で前半を折り返す。後半は鹿島がボールを保持する時間が続いたが、得点は挙げられない。逆に川崎Fは後半33分にMF大島僚太が左サイドから中に切り込み、右足を振り抜いて同点ゴールを挙げる。その後は鹿島が何度か決定機をつくったがチャンスを生かせず、勝ち点1を分け合った。

 川崎Fは24節の仙台戦(1-2)から2人を変更した。負傷したGK西部洋平に代わり、GK杉山力裕が今シーズン、初出場を果たす。また、實藤も3試合ぶりに先発に復帰した。対する鹿島は24節の神戸戦(1-0)は出場停止だったMF柴崎岳が、スタメンに名を連ねている。
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 試合は前半6分に動く。鹿島は興梠が最終ラインの裏を取ると、GKとの1対1を冷静に決めて、1-0と先制する。リーグ戦11試合ぶりのゴールを挙げたストライカーは、さらに同16分にもMFドゥトラが倒されて獲得したPKをゴール右に流し込み、リードを2点に広げた。

 早い時間帯に2失点を喫した川崎Fだが、右サイドのMF山瀬功治、DF田中裕介らを中心に、チャンスをつくることはできていた。前半19分には最終ラインの實藤が、MF中村憲剛とのワンツーからPA内でフリーになり、シュートを決めて1点を返す。その後も26分には中村のFKがゴール左上隅に飛ぶが、GK曽ヶ端準の好セーブに遭い、同点ゴールを決めることはできない。

 鹿島も川崎Fの起点になる中村を抑え、ボールを奪ってからの速攻でチャンスをつくり出す。38分には左サイドを突破したドゥトラの折り返しに、FW大迫勇也が飛び込むが、わずかに届かない。41分には左SB新井場徹からゴール前でフリーになったDF岩政大樹にクロスが入る。岩政はヘッドでボールを捉えたが、シュートはGK杉山にキャッチされた。同44分には川崎も右サイドから中央に切り込んだ山瀬が左足で強烈なシュートを放ったが、シュートはわずかに右へ外れて行く。互いに激しく攻め合った前半は、2-1で鹿島がリードして折り返す。

 後半、最初にチャンスをつくったのは1点をリードする鹿島だった。8分、右サイドからDF西大伍が折り返したボールを、中央で興梠が合わせたが、シュートはクロスバーを越えて行った。ボールを保持する鹿島は、同12分にも柴崎、MFレナトとつながったパスを受けた大迫が、コンパクトな振りからゴールを狙う。しかし、シュートは右に逸れて行った。川崎Fは17分に登里享平を下げて、MF楠神順平をピッチに送り出した。鹿島は21分、大迫を下げてFWジュニーニョを起用する。ブラジル人ストライカーは、慣れ親しんだ等々力で躍動する。22分、PA外から鋭いシュートをゴールマウスに飛ばすと、26分にも川崎Fの最終ラインを突破して、FKを得る。このFKからの流れでMF小笠原満男がゴール前にシュート性のボールを入れると、興梠が反応してコースを変えたが、川崎F守備陣に体を張ってブロックされた。

 押し込まれる時間の続いた川崎Fも、後半29分に中村のスルーパスを受けた山瀬がPA内から強烈なシュートを枠に飛ばす。しかし、これはGK曽ヶ端に弾き出され、得点にはつながらない。鹿島は32分にレナト、ドゥトラを下げて、MF遠藤康、MF増田誓志を起用する。後半33分、川崎Fは大島が左サイドから中央へ大島がドリブルで仕掛ける。鹿島守備の寄せが遅れると、大島は右足を振り抜く。GK曽ヶ端も手に当てたが、弾ききれずに、ボールはゴールに入り、2-2と試合は振り出しに戻った。追い付いた直後に川崎Fは風間宏矢に代えて、FW小松塁を送り込む。しかし、味方との連係が合わずに好機をつくることはできなかった。

 鹿島は試合終了間際の45分に、ビッグチャンスを迎える。最終ラインの裏を上手く取った西が、右サイドからゴール前にクロスを送り込む。興梠がニアで潰れると、フリーで走り込んだジュニーニョが、ファーサイドで合わせる。しかし、シュートをふかしてしまい、決定機を生かせない。その直後にも、左サイドからジュニーニョが折り返しを最後は興梠が合わせたが、GK杉山の足に防がれた。結局、決勝点は生まれないままタイムアップを迎え、試合前から9勝5分10敗と同じ試合結果を残していた両チームの対戦は、痛み分けに終わった。

(取材・文 河合拓)

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