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鹿島FWジュニーニョ「等々力に戻れたことは嬉しいが…」

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[9.15 J1第25節 川崎F 2-2 鹿島 等々力]

 後半20分過ぎ、タッチライン際に立つと慣れ親しんだ等々力に盛大なコールが起きた。ただし、声の主はこれまでの水色と黒のサポーターではなく、アウェーゴール裏を真っ赤に染めたサポーターたちだった。同21分、鹿島アントラーズに移籍してから、初めて等々力のピッチを踏んだFWジュニーニョは「長いことフロンターレでプレーしていたから、等々力に戻れた嬉しさはある」と語り「今日は違うユニフォームを着て戻ったが、勝つためにピッチに戻った」と続けた。

 川崎Fの一員として、J1で通算205試合に出場し、107得点を挙げたストライカーは、かつて本拠地としていたピッチで躍動した。「川埼Fが相手と言うことで、高いモチベーションで臨んだ。2-1でリードしていたので、ボランチにパスを入れさせないようにすること。また、DFラインの裏を狙った動きを意識することを監督には言われていた」と話すジュニーニョは、攻守に貢献していた。出場直後の22分には、PA外からシュートを枠に飛ばすと、その後も鋭い動き出しから最終ラインの背後を取ってチャンスをつくる。守備でも最前線からのチェイシングを見せ、古巣・川崎Fを苦しめた。

 後半33分、鹿島は大島僚太にゴールを許し、同点に追い付かれた。そして2-2で迎えた試合終了間際の後半45分、ジュニーニョにビッグチャンスが訪れる。右サイドでマークを外して、ボールを受けたDF西大伍がゴール前にクロスを入れた。ニアサイドでDFを引き連れたFW興梠慎三が潰れ役になると、走り込んだジュニーニョの下にボールが来た。しかし、過去に何度も等々力のゴールネットを揺らしてきたジュニーニョだったが、この場面ではボールをクロスバーの上に飛ばしてしまい、天を仰いだ。

 試合後、MF中村憲剛は「ジュニーニョなら、あの場面は決めていた」と冗談を飛ばしたが、「あの場面で私が決めていれば、おそらく決勝点になっていた。チームとしてあのゴールを決めきれなかったことが残念」とジュニーニョ自身も唇を噛む。そして「ボールが来たとき、私の前には3人の選手がいた。DFとGKと(興梠)慎三がいて、もう少しボールの上を蹴ろうとしたが、思ったより下に当たってしまった。狙いすぎてしまったのかもしれない」と説明する。得点後もサイドからチャンスをつくったが、チームが決勝点を挙げられなかったことで、「遠くまで応援に来てくれたサポーターたちに、勝てなくて申し訳ない」と、最後まで反省していた。

(取材・文 河合拓)

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