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[フットサルW杯2012]W杯への想いを語るカズ「ドーハのとき、フランスのときに出ていても、また行きたい場所」

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 日本サッカー協会は20日、24日から愛知県内で行われるフットサル日本代表合宿の参加メンバーの16選手を発表した。横浜FCから、FW三浦知良が選出されている。代表メンバーの発表後、横浜FCのクラブハウス内で会見を行った三浦は「今でもW杯出場が夢であり、自分のモチベーション」と、あらためてW杯という舞台への想いを口にした。

 94年のアメリカ大会はドーハの最終予選で敗れ、98年のフランス大会は本大会の直前にメンバーから外れた。だが、三浦は仮に両大会に出ることができていても、W杯を目標にし続けていただろうと語る。

「W杯というのは、自分の中の本当にずっと夢なので。今でもそうです。もし、ドーハのときでも、フランス大会のときでも、仮に自分がW杯に行けていたとしても、また行きたいという場所だと思う。実際にW杯に行った選手の誰に聞いてもそうですし、行ったことがあったとしても、今でもW杯に行くという夢は持ち続けてやっていると思います。当然、今でもW杯は夢でもありますし、自分のモチベーションでもあります」

 とはいえ、三浦にとっての夢は、サッカーのW杯だった。1月にミゲル・ロドリゴ監督から「フットサルW杯に出場しないか?」と誘われるまでは「考えたこともなかった」というフットサルW杯は、三浦にとって、どのような大会なのか。

「フットサル界では頂点を決める一番大きな大会だと思いますし、フットサル選手が一番目指す大会だと思う。ブラジルもそうですが、世界のトップのチームが来て対戦する非常に大きな大会だと思いますし、日本のサッカー界が、これからもっともっと発展していく中で、フットサルという競技が、もっと盛んになっていくことが必ず必要になってくることなので。世界の大会に出て勝つことは、本当に大きな意味があると思います」

 日本代表は11月1日の初戦で、ブラジル代表と対戦する。15歳のときに、単身ブラジルに渡り技術を磨いた三浦にとっては、原点とも言える国との対戦だ。「カナリアの黄色のユニフォームは、世界で最も偉大な代表だと今も思っていますし、そう信じています」と、三浦は言う。「その相手とやれるっていうのは、どんな気持ちになるのかな、と。(サッカーの)日本代表時代にも何度か戦っていますけど、これがW杯となったらどうなるか。サッカーのW杯でもそうですけど、フットサルのW杯も、ブラジル代表の選手たちにとっては本当に大きな意味を持つ大会として挑んでくると思う。彼らは『最低でも優勝』という価値観で戦ってくると思いますので、それは本当に大変なチームとやらないといけないと感じています」。

 もっとも、まだ三浦がW杯に出場できると、決まったわけではない。今回、招集された候補メンバーは16名だが、本大会に登録できるのは14名だ。ここからは、その枠に入る競争が繰り広げられる。ミゲル監督は「三浦の経験やリーダーシップに期待している」と語ったが、三浦自身は「何かを伝えようとするより、精いっぱいやることが一番良い影響を周りに与えると思う」と言う。

「日本代表での経験、いろんなクラブで経験したこと、欧州やブラジルで経験したこと。そのすべてを練習から出していくことが、良い方向につなげられると思います。変に(フットサルだからと)意識せずにやりたい。この前の1月にFリーグ参戦したときも、特別な意識を持ってやったわけではない。自分のやれることを精いっぱい、前日の練習から本番の試合まで、自分の今持っているものを出し切ろうという気持ちでやったので、それでいいんじゃないかなと思っています。その中で、大きな日本代表という、日本を代表するわけですから。これは違った大きなモチベーションであり、チャレンジでもあります。候補合宿から参加しないといけませんが、そのユニフォームを本当に着られるように、チャレンジしていきたいなと思います」

 サッカーとフットサル、競技は異なるがW杯という世界最高峰の舞台に立つために。そして、フットサル界を盛り上げて、サッカー界につなげていくために。45歳の三浦の挑戦は続く。

(取材・文 河合拓)

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