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フットサル代表 ミゲル・ロドリゴ監督「カズは生粋のチャレンジャー」

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 ミゲル・ロドリゴ監督の率いるフットサル日本代表は、5月のAFCフットサル選手権(アジア選手権)で6年ぶり2度目の優勝を成し遂げた。この日本代表は、ミゲル監督が3年という時間をかけて成熟させてきたチームだ。

 11月1日に開幕するフットサルW杯に向けて、24日の愛知合宿から再始動するフットサル日本代表は、アジア選手権を戦った14人の選手が、そのまま名を連ねている。そこに新たに横浜FCのFW三浦知良名古屋オーシャンズのFP森岡薫の2選手が加わった。この2人の新戦力に、ミゲル監督は期待を寄せる。

「森岡は日本代表に欠けていた、ゴールを決める得点力で大きな活躍が期待できます。カズはW杯のような大きな舞台を戦う上で不可欠な、経験を持っている」と、語る。しかし、最終的にW杯に登録できるのは14選手のみ。今回招集された16選手のうち、2人は確実に登録外になる。ミゲル監督は、厳しいサバイバルを予告した。

「これまでにも招集されてアジア選手権で優勝を経験した選手も、新しい選手でも、最良のパフォーマンスを見せて、戦力になることを証明してもらわなければいけない」

 大きなハンデを抱えているのは、三浦だろう。普段はJリーグでプレーしている三浦は「フットサルはサッカーよりスペースが小さい分、アジリティとかスピードの面で速いですし、細かい動きも多い。何回か練習して、もう少し体に染みつかせなければいけない」と口にしている。

 日本サッカー界の伝説的な存在である男にとって、メリットの多い挑戦ではない。瞬間的かもしれないが、三浦を招集することで、フットサル日本代表は注目を集めることができる。だが、カズは短期間でフットサルに順応し、ミゲル監督の求める戦術や動きを理解し、さらにピッチで結果を残さなければいけない。それができなければ「もう終わった選手だ」と見放される可能性が、ある。

 だからこそ、ミゲル監督は三浦のチャレンジ精神を称賛した。「サッカーのエリートレベルに立った選手が、フットサルにプレーの環境を変えるチャレンジは通常ではありえない。特別な人にしかできないし、まさにカズだからできることだと思う」。

 さらにミゲル監督は、代表のメンバー選考について、三浦とやり取りがあったことを明かした。

「98年のW杯直前に、カズがメンバーから外れたことは知っています。しかし、これはカズから振ってきた話なのですが『W杯出場の夢を果たすためだけに、フットサルW杯へ行くことはない』と言っていました。私も『その夢を叶える手伝いをするつもりは、全くない』と伝えています。彼は生まれつきのチャレンジャーなのでしょう。数年後、彼は『ヒマラヤに登りたい』と言うかもしれない。そういうチャレンジ選手を持った選手だと思う。彼にとって、代表のユニフォームを着て、君が代を聞くことは、大きなものになるでしょう。ただ、その環境は彼にとって、チャレンジの末に勝ち取ったものでなければ意味がないのです。ですから、私も特別な思いで、彼を手助けするつもりは、ありません」と、日本サッカー界のレジェンドも、特別扱いはしないと断言した。

 W杯開幕まで、フットサル代表が活動できるのは約20日。この短期間で、生粋のチャレンジャーである三浦は、どれだけフットサル日本代表に溶け込みことができるだろうか。

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