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決勝点のF東京 MFヴチチェビッチ「カズマノビッチに感謝」

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[9.29 J1第27節 F東京2-1磐田 味スタ]

 1-1で迎えた後半40分だった。3試合ぶりの勝利を目指すFC東京のMF長谷川アーリアジャスールがFW渡邉千真に縦パスを入れる。渡邉は絶妙なトラップでDF宮崎智彦の横にボールを転がすと、しっかりと体を入れてボールを前に運ぶ。ゴール前に折り返すと、後半開始から出場したMFヴチチェビッチが豪快にゴールネットを揺らした。

 ヒーローインタビューに呼ばれ、「チーム一丸となって、この逆転勝利を挙げられたと思います。ゴールを決めることができて幸せですが、何よりチームを勝利に導くことができ、みなさんと喜びを分かち合えたことが幸せです」と喜びを爆発させた。

 これまでロシア、ドイツ、ギリシャでもプレーした経験を持つセルビア人は、F東京との特別な相性の良さを口にした。「これまでいろいろな国のチームに行きましたが、こんなに早くフィットできたのは、初めてです。本当に技術の高い選手が多くて、プレーしやすい」。

 25節の清水戦でもゴールを挙げているアタッカーは、「リードされているときは、流れを変えるプレーが必要。後半はアグレッシブにプレッシャーをかけて、ゴールへの姿勢を見せることができました。それが逆転できた要因だと思います」と振り返り、後半35分からの出場で、彼のゴールをアシストした渡邉への感謝を述べた。

「千真は素晴らしいボールを入れてくれました。同じアタッカーとして、結果がほしいはずですが、素晴らしいパスをくれました。あのアシストがあったからこそ、ゴールができました。(セルビア代表の)クズマノビッチより上かもしれない。カズマノビッチに感謝ですね」とセルビアン・ジョークを飛ばした。

「チームメイトとのコンビネーションは良くなっている」と言うヴチチェビッチだが、ファン・サポーターとの連係は、まだまだだ。試合後、勝利を喜ぶ『シャー!!』の場面では、うまくタイミングを取ることが出来なかった。「みんな腕を上げて『シャー!!』ってやりますよね? でも、私はより力が入るアッパーの方が好きなんです。アッパーを打つように、下から『シャー!!』とやろうとしたのですが、タイミングが合いませんでした。直した方がいいなら直しますが、理論的にも下からの方がいい」と、身振り手振りを交えて説明した。

 加入直後、ポポヴィッチ監督は「チームに馴染めば、素晴らしい活躍をする」と断言していたヴチチェビッチは、実際に3試合で2ゴールと結果を出した。今後、まだまだ『シャー!!』をする機会があるだろう。ファン・サポーターとの連係も、すぐに良くなるはずだ。

(取材・文 河合拓)

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